南葛SCが‟風間イズム“を継承へ! 三笘薫、仲川輝人も指導した新監督のサッカー観とは?

カテゴリ:連載・コラム

伊藤 亮

2021年02月22日

「面白く強いサッカー」の実現を追い求めて

「面白くて強いサッカー」を実現したいという新指揮官。果たして、いかなるチーム作りを見せるのか? 写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

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「サッカーで勝利を目指すうえで、その方法に正解はありません。いろんな考え方があり、どれがいい、どれが悪いという話でもありません。その中で僕の価値観は、『面白くて強いサッカー』を目指し、結果として、観ている方々に『楽しんで喜んでもらえる』チームの実現です。ただ勝つだけなら嬉しいけれど、どこか面白くない。ただ面白いだけなら楽しませられるけど、なかなか勝てない。僕が求めるのは両方、面白くてしかも勝つんです。どちらかひとつだけだと、サッカー自体の魅力が伝わらないと考えています。そして勝つことで楽しさを正当化してしまうのは、淋しい。ボールを自由に扱えるという、サッカープレーヤーなら誰もが始めた頃に感じた魅力を、そのままグラウンドで表現する。その上で勝利を目指すんです」

 楽しんで勝つ。それは『キャプテン翼』でもよく描かれている。まさにサッカーをする者の希望の原点だろう。ただ現実は、なかなかそうはいかない。だからいろんな考え方が派生する。では森監督の志向するサッカーは理想論なのかといえば、違う。具体的に実現するだけのノウハウがあるからだ。

「長く育成部門にいた影響は大きいかもしれません。僕も指導者を始めたての頃は、目の前の勝利を目指していたこともありました。でも育成として選手の将来を考えた時に、それでは難しい。昨シーズンにブレイクした三笘薫選手(川崎フロンターレ)や、2019年にJリーグMVPを獲得した仲川輝人選手(横浜F・マリノス)を小学生や中学生の頃から見ていましたが、勝利は目指しつつも個性を伸ばすことが大事だと重視するようになりました。当時は勝利と育成の間で葛藤して、いろいろ試行錯誤して模索して、でも確実に掴めたものはなかったんです。でも、その後Jリーグトップチームのコーチをしている時に掴めたんです」

 長く探してきた答えのようなものが見えた時の衝撃はいかばかりだったか。この体験が、今の森監督の礎になっている。選手自身も、指導者も、そして見ている者も楽しんで喜べるサッカー。そして今、このサッカーを南葛SCで表現すべく動き始めた。

 では「面白くて強いサッカー」をどうやってチームで、そして関東リーグでの戦いで表現していくか。森一哉監督インタビュー第2回では、さらに話を具体的に落とし込んでいく。

※後編に続く(次回は2月23日に公開予定です)

取材・文●伊藤 亮(フリーライター)

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