徳島のアプローチは指導面へのIT技術導入を加速させる?
甲本コーチは、日々の試行錯誤の様子を次のように語る。
「毎日夕食の後、スペインにいる監督とオンラインでミーティングを重ねています。トレーニングのフィードバックだったり、次の日の練習のことを話しながら、意思疎通している形です。ここ最近、重視しているのは、選手全体とオンラインで監督と話す形。ネット経由で監督が直接、選手と話す回数を増やしています。ポジション別に監督と話したり、僕らが日本人スタッフから監督と議論したことを細かく伝えたりもしています」
「毎日夕食の後、スペインにいる監督とオンラインでミーティングを重ねています。トレーニングのフィードバックだったり、次の日の練習のことを話しながら、意思疎通している形です。ここ最近、重視しているのは、選手全体とオンラインで監督と話す形。ネット経由で監督が直接、選手と話す回数を増やしています。ポジション別に監督と話したり、僕らが日本人スタッフから監督と議論したことを細かく伝えたりもしています」
甲本コーチはもともと分析担当で、映像を使ったフィードバックは得意だが、「(監督不在の)こういう形で伝えることには難しさを感じています」と本音も吐露していた。新加入の宮代大聖が「監督がいない中でも自分たちのやりたいサッカーを意思統一できているので、それほど問題はないのかな」と言えば、藤田譲瑠チマも「練習や試合を監督がしっかり見てくれていますし、ミーティングもしっかり行なえているんで、直接指示をもらえない不安は感じていない」と語るなど、選手たちは甲本コーチの下で同じ方向を見て、着実に前進できている様子だ。
しかしながら、サッカーは生もの。公式戦が始まれば、予期せぬアクシデントが起きる場合もある。その状況をポヤトス監督が逐一チェックして、臨機応変な対応をできる環境ならばまだいいが、それができないのはやはり厳しい。早い時期の来日が叶ったとしても、監督と選手の間で意見が生じたり、双方が違和感を覚える部分もあるだろう。こうした先々を見据えると、徳島の今季は未知数な部分が多いと言わざるを得ない。
今回のケースは、Jリーグ始まって以来のオンライン采配。その成否に興味関心を抱く人も少なくない。徳島のアプローチは今後の映像分析の工夫、IT技術導入を加速させるきっかけになる可能性もあるだけに注目だ。
取材・文●元川悦子(フリーライター)