ロティーナ監督はC大阪時代よりも早く結果を出せるかもしれない!?
一方、鹿児島キャンプに赴いた清水の方は、ロティーナ流の守備戦術構築に多くの時間を費やした。6日のジュビロ磐田戦では相手に押し込まれ、主導権を握るサッカーができなかったものの、9日の松本山雅FC戦は主力組メインの1本目で相手を圧倒。中山克広、金子翔太の両ワイドが積極的な仕掛けを見せ、プロ2年目の鈴木唯人がゴールを挙げるなど、少なからず手応えを掴んだ。
「我々はできるだけ長くボールを持っていたいが、90分保持するのは難しいので、奪い返す作業が必要になってくる。そのためには正しい位置取りが必要。に前からプレスをかけてボールを奪えるのが理想だが、それが毎回できるわけではない。その時は後ろの選手のコミュニケーションが大事になってきます」と指揮官がコンセプトの一端を説明する通り、選手たちは細かいポジショニングと距離感を徹底的に叩き込んだ様子だ。
松本山雅戦でGK権田修一、ディフェンスラインの原輝綺、ヴァウド、鈴木義宣、片山瑛一の4バックが強固な守備組織を構築したのは、ひとつの大きな収穫と言っていい。
「ロティーナ監督が大事にしているのは立ち位置、前線からハメに行く時にどうスライドするか、そして選手同士の距離感。上から見ると『ロープにつながれているような守備』という感じなので、連動した動きが重要になってくる。それを試合をこなすごとにすり合わせていければいいと思います」と新加入の鈴木義宣も話したが、彼らが基本戦術への理解を深めているのは間違いない。
ここからエウシーニョやウィリアム・マテウス、カルリーニョス・ジュニオら外国人選手が合流し、戦術理解が深まっていけば、ロティーナ監督はセレッソ時代よりも早く結果を出せるかもしれない。昨季J1ワーストの70失点を喫した清水の再浮上への道のりはここからが本番だろう。
鹿児島・宮崎でキャンプを張ったJ1クラブのうち、新体制に移行したもうひとつのチームが徳島ヴォルティスだ。4年間指揮を執り、悲願のJ1昇格へと導いたリカルド・ロドリゲス監督が浦和レッズへ移籍。志向スタイルが近いと言われるスペイン人のダニエル・ポヤトス監督が後を引き継ぐことになった。
だが、新型コロナウイルス再拡大で入国制限が強化され、来日できないまま現在に至っている。Jリーグ側も監督・選手の入国に関して政府に働きかけを続けているが、2月27日の開幕・大分トリニータ戦には間に合わない可能性が高い。その試合をポヤトス監督がリアルタイムで見ながら指揮することも、放映権の問題などで叶いそうもない。
まさに前代未聞の事態に直面する徳島。今は甲本偉嗣コーチが中心となって可能な限りの準備を進めている段階だ。