どこへ行っても「球際」や「切り替え」が合言葉となった時代
しかし、この10年間でトレンドも変化した。元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチがデュエルの必要性を力説し、日本の現場でも「球際」や「切り替え」が合言葉のように飛び交うようになる。ドイツへ渡ってセンターバックからボランチへとポジションを変えた遠藤航が一躍脚光を浴び、圧倒的なポゼッションで着目された川崎は、さらに前線からの果敢な守備を磨き突き抜けた。ごく一部の天才を除けば例外なく戦術的なハードワークが要求されるようになり、必然的に高体連を先導する青森山田も、11年前と比較し格段にフィジカルを鍛え上げ隙のないチーム作りをして来るようになった。
だが初優勝当時からは何度か監督が代わって来た山梨学院も、不思議と11年前と同じ基調を保っている。MFの広範でスピーディな動きを武器に、ボール奪取から速い攻撃を仕掛け、準決勝の帝京長岡戦では30秒以内に先制し主導権を手繰り寄せた。
最近の実績と、ここまでの勝ち上がり方を見れば、当然青森山田の優位は動かないだろう。しかし下馬評が傾けば傾くほど、不思議と逆の結果が生まれやすいのもフットボールの特性である。
文●加部 究(スポーツライター)
だが初優勝当時からは何度か監督が代わって来た山梨学院も、不思議と11年前と同じ基調を保っている。MFの広範でスピーディな動きを武器に、ボール奪取から速い攻撃を仕掛け、準決勝の帝京長岡戦では30秒以内に先制し主導権を手繰り寄せた。
最近の実績と、ここまでの勝ち上がり方を見れば、当然青森山田の優位は動かないだろう。しかし下馬評が傾けば傾くほど、不思議と逆の結果が生まれやすいのもフットボールの特性である。
文●加部 究(スポーツライター)