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“北”から軽視され続けた都市ナポリを再興に導いたマラドーナ。英雄を失った街はいま――【現地ルポ】

カテゴリ:ワールド

アレックス・チスミッチ

2020年12月10日

スタジアムの改称に続いて銅像や博物館を作る動きも

急逝した“永遠の10番”に花を捧げる現ナポリ主将のインシーニェ。(C) Getty Images

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 ナポリのウルトラス(熱狂的なサポーターグループ)が陣取るクルバBの入口には、ナポリ市が正式に命名するずっと以前から、ウルトラスが独自に制作した「スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ」と書かれた金属プレートが掲げられている。

 イタリアの法律では、公共の施設に人名にちなんだ名称をつけることができるのは、没後10年が過ぎて以降と決められている。しかしこの国のほとんどの法律がそうであるように、そこにも例外規定が盛り込まれている。ナポリ市はその規定を利用して、マラドーナの没後わずか5日目の11月30日に、サン・パオロからディエゴ・アルマンド・マラドーナへの名称変更にGOサインを出した。

 市議会には、スタジアム前の広場、そして最寄りの地下鉄駅にもマラドーナの名称を冠する提案が出されており、さらにその広場には銅像の建立までも見込まれている。さらに、マラドーナの時代にナポリが使用し、今は使われずに放置されているトレーニング施設「チェントロ・パラディーゾ」にマラドーナ博物館を設置しようというプロジェクトも進められている。
 
 マラドーナがこの街を去ってから30年が過ぎた今も、ナポリにとってどれだけ重要な存在であり続けているか、ナポレターニの心の中でどれだけ大きな場所を占めているかを、この一連の動きはこれ以上ないほど雄弁に物語っている。

 そして、まだそれだけでは終わらない。マラドーナはもっと大きな存在だからだ。前出のシーカは、サレルノ大学と共同でマラドーナの足跡を学術的に掘り下げる「マラドーナ研究所」を立ち上げようとしている。

 マラドーナが心に残していった大きな穴を埋めようというナポリとナポレターニの試みはまだ始まったばかりであり、これからはすます広がっていくに違いない。ナポリはいま改めて、マラドーナと共に生きようとしているのだ。

文●アレックス・チスミッチ(text by Alex CISMIC)
翻訳●片野道郎(translation by Michio KATANO)
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