『キャプテン翼』と葛飾区と南葛SCの「公共性」が描く未来
『男はつらいよ』(山田洋二監督)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治先生)とならび、世界的な知名度を誇る『キャプテン翼』は葛飾区を盛り上げる“財産”になっている。
「葛飾区が南葛SCを支えてくれるのは、公共性が高いと考えてくださっているからでしょう。『キャプテン翼』の公共性と、その作者である高橋先生が代表を務める南葛SCというサッカークラブの公共性がマッチしている。もし代表が利益企業であったりすると、なぜ自治体が特定の企業を支えるのか、という議論が当然起こるはずですから」
特に地元意識の強い葛飾区という土地柄で、公共性はさらに追い風になる。
「下町である葛飾は歴史の深さからか、新興地域である東京西部にはない独特の地元意識があるんです。東京のど真ん中に位置しているのにローカル色があって、それが地元愛につながっている。だから地元密着を掲げるサッカークラブとの相性がすごくいい」
地域に南葛SCをより理解してもらえればもらうほど、公共性はさらに強まる。そのための施策は、すでに動き出している。
「現在、葛飾区の企業や大人が、地元のサッカー少年少女を応援するプロジェクトを計画しています。具体的には、今年の6月に出版された『キャプテン翼のサッカー教室』(集英社)という教則本が、マンガを通じて楽しくサッカーを学べる、とてもいい内容なので、これを葛飾区の子どもたちに配って、サッカー文化を育みたいと考えています」
利益性より公共性を追求することでクラブの透明性も高まる。そして、この健全な姿が地元との関係性を深め、スタジアム建設への理解へとつながる。さらに少年少女を対象としたプロジェクトであるところに、長期的な目標が見える。
「我々のクラブはどうしても後発になります。全国に56ものJクラブがある現在、サッカー好きな大人は、どこかしらのクラブのファン・サポーターになっている可能性が高い。南葛SCを応援くださっている方も、他のクラブと掛け持ちだったりするケースがあります。でも、今後カテゴリが上がっていけば、掛け持ちでいられなくなる。とすると、10~20年先を考えて、今から小中学生をターゲットにした施策を打っていく必要があります」
『キャプテン翼』と葛飾区、そして『キャプテン翼』と南葛SC。さらには葛飾区と南葛SC。この三位一体の関係で、これまでどこもなし得なかった、東京都23区のJクラブ誕生実現へ――。J7に当たる東京都社会人リーグ1部の南葛SCが、今年2月に「Jリーグ百年構想クラブ」に承認されたのは、この三位一体の関係性に対する期待の表われだと、岩本GMは考えている。(文中敬称略)
※第2回に続く。次回は9月14日配信予定です。
取材・文●伊藤 亮
「葛飾区が南葛SCを支えてくれるのは、公共性が高いと考えてくださっているからでしょう。『キャプテン翼』の公共性と、その作者である高橋先生が代表を務める南葛SCというサッカークラブの公共性がマッチしている。もし代表が利益企業であったりすると、なぜ自治体が特定の企業を支えるのか、という議論が当然起こるはずですから」
特に地元意識の強い葛飾区という土地柄で、公共性はさらに追い風になる。
「下町である葛飾は歴史の深さからか、新興地域である東京西部にはない独特の地元意識があるんです。東京のど真ん中に位置しているのにローカル色があって、それが地元愛につながっている。だから地元密着を掲げるサッカークラブとの相性がすごくいい」
地域に南葛SCをより理解してもらえればもらうほど、公共性はさらに強まる。そのための施策は、すでに動き出している。
「現在、葛飾区の企業や大人が、地元のサッカー少年少女を応援するプロジェクトを計画しています。具体的には、今年の6月に出版された『キャプテン翼のサッカー教室』(集英社)という教則本が、マンガを通じて楽しくサッカーを学べる、とてもいい内容なので、これを葛飾区の子どもたちに配って、サッカー文化を育みたいと考えています」
利益性より公共性を追求することでクラブの透明性も高まる。そして、この健全な姿が地元との関係性を深め、スタジアム建設への理解へとつながる。さらに少年少女を対象としたプロジェクトであるところに、長期的な目標が見える。
「我々のクラブはどうしても後発になります。全国に56ものJクラブがある現在、サッカー好きな大人は、どこかしらのクラブのファン・サポーターになっている可能性が高い。南葛SCを応援くださっている方も、他のクラブと掛け持ちだったりするケースがあります。でも、今後カテゴリが上がっていけば、掛け持ちでいられなくなる。とすると、10~20年先を考えて、今から小中学生をターゲットにした施策を打っていく必要があります」
『キャプテン翼』と葛飾区、そして『キャプテン翼』と南葛SC。さらには葛飾区と南葛SC。この三位一体の関係で、これまでどこもなし得なかった、東京都23区のJクラブ誕生実現へ――。J7に当たる東京都社会人リーグ1部の南葛SCが、今年2月に「Jリーグ百年構想クラブ」に承認されたのは、この三位一体の関係性に対する期待の表われだと、岩本GMは考えている。(文中敬称略)
※第2回に続く。次回は9月14日配信予定です。
取材・文●伊藤 亮