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「サッカーが嫌いに…」「物凄く辛かった」7か月で終焉したファルカンJAPANの真相【名勝負の後日談】

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年05月04日

ドーハでの対戦から1年。日韓両国のチーム力には明確な差が生まれていた

カズはファルカン体制下でも攻撃の中心としてチームを牽引。アジア大会準々決勝の日韓戦では1得点を挙げる。(C) Getty Images

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 ただし現実的には、それが代表監督として命を縮めた。アジア大会での目安は「韓国に勝ってベスト4」だと報じられていた。開幕からグループリーグで2分けの日本は、ミャンマー戦を残すのみ。2点差以内の勝利なら2位通過となり、準々決勝で韓国との対戦を避けられた。しかしミャンマー戦では2点を取った時点で、柱谷を筆頭に何人かの選手がベンチに確認しても特別な指示は出てこない。そして81分、交代出場した岩本が躊躇なく3点目を叩き込み、日本は5-0で勝利。ベスト4に到達する前に、韓国戦が実現してしまった。

 韓国戦を避けようという考えは?と聞かれたファルカンは笑みさえ湛えていた。
「みなさんの方が韓国を怖がっているのではありませんか」 

 日韓戦は、ドーハでの米国ワールドカップ最終予選以来1年ぶりだった。崖っぷちに追い込まれた日本は、カズの決勝ゴールで韓国を下し反撃に転じた。しかし1年間で両国のチーム力には、明確な差が生まれていた。6年前のソウル五輪で旧ソ連を金メダルに導いたアナトリー・ブイショベッツを代表監督に招聘した韓国は、役割分担も明確でシンプルに連動しながら攻撃を組み立てて来た。それに対し日本は、攻守に組織的な連係が乏しく、個々がドリブルで運ぶシーンばかりが目についた。

 それでも前半はカズのゴールでリードを奪って終わるが、後半に入ると韓国が完全にゲームを支配する。特にSBに転向して日の浅い遠藤と、その前に澤登正朗がポジションを取る日本の左サイドで数的優位を作り、立て続けに決定的な崩しを見せるようになった。本来韓国の右サイドはコ・ジョンウォンとハン・ジョンクックだが、トップ下のチェ・デシクや後方からカン・チョルがサポートにつき翻弄していく。同点ゴールは、ウイングの位置から内に入ったコ・ジョンウォンが最前線で圧倒的な存在感を放つファン・ソンホンにスルーパスを送り、ファンがヒールで残したボールを後方から飛び出したユ・サンチョルが決めた。

 さらに逆転弾はサイドチェンジでマークを外すと、チェ・デシクのクロスをファン・ソンホンがフリーで押し込んでいる。日本も終了5分前に、井原が目の覚めるようなスーパーミドルを突き刺して追いつくが、前線のカズ、高木琢也、前園真聖がいずれも孤立し、複数の選手が関わって崩し切る形は最後まで見られなかった。

 結局試合は、韓国が終了間際にPKを獲得して3-2で勝利して準決勝に進出。ファルカン体制は7か月間で終焉した。
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