デシャンの脳裏には、レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督のコメントも蘇ったに違いない。「フットボリスティックに見れば」としっかり前置きしたうえで、「ベンゼマが最優秀。それは火を見るより明らかだ」という発言だ。ジルーを起用し続けるデシャンは、記者団から意見を求められ、対応に追われたばかりだった。この時は、こうした発言も「マドリーの監督としての役割だ」とかわしている。

　話をモルドバ戦後の会見に戻そう。ジルーについての質問が終わると、デシャン監督はきっぱりこう答えた。

「ジルーはチームの役に立ち、不可欠だ。ゴール効率も非常に高い。今日はPKを蹴るという決意もみせた。彼は周囲にいる選手たちにゴールチャンスも与えている。これらが、なぜチェルシーでのプレー時間が少ないにもかかわらず、我々と一緒に居続けているのかを、よく説明している」

　15日付の『L’EQUIPE』本紙はさっそくEURO23人のメンバー予想を掲げ、ジルーを「確実」のリストに入れた。ただ先発できるかどうかをめぐっては再び議論が沸騰中だ。

　フランスは17日のアルバニア戦でいよいよ首位突破を目指す。目標は30日の抽選会で第１ポットに入ることだ。叱咤された４人は、今度こそ四重奏を奏でられるだろうか。

テキスト・結城麻里
text be Marie YUUKI