世界選手権開催で注目 ブラインドサッカーをもっと知ろう!

カテゴリ:特集

清水英斗

2014年11月20日

「かごの中の鳥が自由に外を飛び回る感覚」

13年から2年連続でフランス遠征を実施。破格の強化プラン実践の陰には、協会独自の取り組みがある。

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 その具体的な活動のひとつが『スポ育』、現役選手が講師として参加する小中学校への課外授業だ。デモンストレーションプレーや、ブラインドサッカーの体験も行なっているが、その特徴は準備運動から表われている。ふたり一組になり、片方が目隠しをして、もうひとりはコーチがやっているポーズを相方に説明する。
 
 はじめは子供たちも「こう!」「こうやるの!」と“目隠しをした相方に”、無茶な説明をしてしまうが、徐々に「右腕を左に伸ばして……十字にするやつ」と論理的な説明を考えたり、膝を回すストレッチを「ぐるぐるグルコサミン!」と説明するなど、目隠しをした人にも分かりやすく工夫し始める。相手を理解すること、それはダイバーシティ社会への第一歩だ。
 
 選手との触れ合いでは、「料理はどうしているんですか?」「調味料は塩や砂糖とか、違う形の容器に入れて、手に触って分かるようにしているよ」といった質疑応答があったり、授業の最後には「視覚障がいを持った人がなにに困って、なにを求めているのかが分かりました」と子供たちが感想を述べたりする。教育面の成果は大きく、2013年度は約350回のスポ育を行なってきた。
 
 さらに小中学校以外にも、ブラインドサッカーならではの相手を考えたコミュニケーションを活かし、月に4、5回のペースで企業のチームビルディング研修に利用されるなど、対象は幅広い。
 
「見えない。そんだけ。」
 それが誰にでも声高に言えることが、真のダイバーシティを備えた社会のあり方だろう。
 
 もちろん、そうした社会的意義を抜きにしても、ブラインドサッカーは観戦スポーツとして充分な魅力を備えている。落合に言わせれば、プレー中は「かごの中の鳥が自由に外を飛び回る感覚」になるそうだ。
 
 日常生活では白杖を突き、様々な不自由と付き合う彼らだが、ピッチ内では思いっ切り自由に走り回り、好きなサッカーをプレーできる。その喜び、その生き生きとした姿には、心を動かされるものがあるはずだ。
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