「チームの総合力でいうと、主力だけでなく、なかなか試合に出られていない選手にもレベルを上げてもらわなければいけません。それは練習のレベルを上げることにもなりますし、それこそ関東社会人サッカー大会は連戦のトーナメントですから。だから、みんなにはチャンスをものにしてもらって、リーグ戦に向けてのメンバーを悩むようなチーム作りをしたいし、そうなるようにみんなに声をかけていきたい。でも選手のタイプはそれぞれで。試合前から気合が入るタイプもいれば、現役時代の僕みたいに試合前はダラダラしていてキックオフの笛が鳴ったらスイッチが入るタイプもいる。一戦に臨むにしても、雰囲気作り、意識作り、意識の浸透をどのように行っていくか。難しいところではありますね」
監督になって予想以上に頭を使っている感覚があるという。
「練習で一緒にプレーすると身体は疲れるのですが、それは一時的なことで。それ以上に頭が疲れています(笑)。監督の仕事だといえばそれまでなのですが。今になって分かるんです。いろんな監督のもとでプレーしてきましたが、彼らがなぜ怒ってたのか、なぜ怒らなかったのか、なぜ日本人選手と外国人選手で対応が違ったのか、とか。選手の頃に今の監督目線を持てていたらよかったなって(笑)。そういうわけにはいきませんが、監督であろうと選手であろうと、変わらないのは自分とも戦いつつ、結果は残さねばならないことです」
たとえば解説の仕事などでサッカーの試合を観ていても、ふと南葛SCのことが頭をよぎる。
「サッカーを観る機会は多いですから、つい南葛SCを当てはめてしまいますね。『うちの選手だったらこのシーンで今みたいなプレーを選択できるかな』とか。気持ちの強さの話でいえば今年のUEFAチャンピオンズ・リーグの準決勝などがいい例で。リバプールもトッテナムも、すごい気持ちを出して逆転勝ちしましたよね。チームのみんなが観ているであろう試合に関しては、ミーティングで引き合いに出して話したりします。『周りのみんなは準決勝のバルセロナみたいに、南葛が勝つと思ってる。でも、対戦する相手は倒そうという気持ちで猛然と来る。それが時として大逆転を生む。トッププロの世界でも起こることなんだから、自分たちも気を引き締めないと起こり得るよ』と」
シーズンの戦いは、いよいよ勝負の後半戦へと突入していく。昨年の悔しさを晴らすためにも、ここからが正念場となる。次回は、目標とする関東リーグ昇格へのビジョンがテーマだ。
(第3回に続く。次回は7月3日掲載予定です)
取材・文●伊藤 亮
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