「今はとにかく、1試合1試合に集中すること」
――浦和戦の後半、武藤のゴールで4-3にした後、最後の20分を、高橋を最終ラインに下げ、武藤も中盤のラインに組み込んだ5-4-1で戦いましたよね。受けに回って守り切ろうという狙いが明確だったように思います。
「あれは、3日前に天皇杯で松本と戦っていたので、最後の15-20分はフィジカル的にハイペースを保つのは難しいという判断があってのことです。ラインを下げスペースを閉じて守り切ろうというのが狙いでした。しかし、4-4にされてからも落胆せず、むしろリスクを冒して勝ちに行こうという姿勢を見せたのは良かったと思っています。浦和は天皇杯でメンバーをほとんど入れ替えて敗退してしまいました。しかし我々にとっては天皇杯も重要なコンペティションだから、大きくメンバーを落とすことはできません。しかし、間違いなく相手より疲れていたにもかかわらず、最後まで勝利を目指して戦い続けたというのは、チームの成長を示す大きなサインだったと考えています」
「試合をビデオで見直しても、90分を通してチームは間延びすることなくコンパクトな陣形を保っていました。後半押し込まれたのは確かだけれど、決定的に崩された場面はほとんどありませんでした。浦和は前線に5人、6人を上げるなど、勝つためにあらゆる手を講じてきた。そこまで人数をかけられれば、何度か危険な場面が生まれるのも不思議ではありません。しかし同時に彼らも前がかりになるリスクを冒しており、我々もそこを衝いてチャンスを作り出しました。後半、エドゥーがいい形で裏に抜け出しながらオフサイドになった場面が二度ありましたよね。羽生と米本からのパスです。あのどちらかからゴールを奪っていれば、試合結果は違ったものになったはずです」
――シーズンの残りは13試合。ACL圏内まで6ポイント、首位まで8ポイントという位置につけています。今の調子が続けば、この差を詰めて首位争いに加わることも不可能ではないように見えますが。
「このチームはまだ若いし、大きな伸びしろを残しています。今はとにかく、1試合1試合に集中すること、そこで結果を出しながら成長していくこと、それだけを考えるべきだと思っています。勝つため、重要な目標を達成するためにはまず、それに相応しい土台を築くことが重要です。今我々はまだ、それを築いている段階。1試合1試合を積み重ねていき、シーズンが終わった時にどこまでたどり着いているかは、その時のことですよ。浦和や鹿島のように、優勝するために築かれたチームならまた話は違いますが、我々は新たな道を歩み始めたばかり。とはいえ、現時点ですでに堅固な土台が出来上がりつつあることもまた確かです。できる限り上を目指すというのは当然のこと。謙虚さを失わず、毎日のトレーニングを積み重ね、毎週の試合を戦っていけば、最後には大きな満足を得ることも不可能ではないと思っています」
取材・文:片野道郎
※フィッカデンティ監督にさらに迫ったインタビューは週刊サッカーダイジェスト9月17日発売号に掲載予定です。
【プロフィール】
マッシモ・フィッカデンティ
1967年11月6日生まれ、イタリア中部のフェルモ出身。現役時代はMFで、ヴェローナやトリノなどに在籍。引退後の2002年に指導者となり、古巣ヴェローナやレッジーナ、ピアチェンツァなどの監督を歴任し、10-11シーズンにはセリエAのチェゼーナで長友佑都を指導した。11年から率いたカリアリでは解任・再登板・解任とオーナーに振り回され、これといった結果を残せなかったが、組織構築には定評がある。
「あれは、3日前に天皇杯で松本と戦っていたので、最後の15-20分はフィジカル的にハイペースを保つのは難しいという判断があってのことです。ラインを下げスペースを閉じて守り切ろうというのが狙いでした。しかし、4-4にされてからも落胆せず、むしろリスクを冒して勝ちに行こうという姿勢を見せたのは良かったと思っています。浦和は天皇杯でメンバーをほとんど入れ替えて敗退してしまいました。しかし我々にとっては天皇杯も重要なコンペティションだから、大きくメンバーを落とすことはできません。しかし、間違いなく相手より疲れていたにもかかわらず、最後まで勝利を目指して戦い続けたというのは、チームの成長を示す大きなサインだったと考えています」
「試合をビデオで見直しても、90分を通してチームは間延びすることなくコンパクトな陣形を保っていました。後半押し込まれたのは確かだけれど、決定的に崩された場面はほとんどありませんでした。浦和は前線に5人、6人を上げるなど、勝つためにあらゆる手を講じてきた。そこまで人数をかけられれば、何度か危険な場面が生まれるのも不思議ではありません。しかし同時に彼らも前がかりになるリスクを冒しており、我々もそこを衝いてチャンスを作り出しました。後半、エドゥーがいい形で裏に抜け出しながらオフサイドになった場面が二度ありましたよね。羽生と米本からのパスです。あのどちらかからゴールを奪っていれば、試合結果は違ったものになったはずです」
――シーズンの残りは13試合。ACL圏内まで6ポイント、首位まで8ポイントという位置につけています。今の調子が続けば、この差を詰めて首位争いに加わることも不可能ではないように見えますが。
「このチームはまだ若いし、大きな伸びしろを残しています。今はとにかく、1試合1試合に集中すること、そこで結果を出しながら成長していくこと、それだけを考えるべきだと思っています。勝つため、重要な目標を達成するためにはまず、それに相応しい土台を築くことが重要です。今我々はまだ、それを築いている段階。1試合1試合を積み重ねていき、シーズンが終わった時にどこまでたどり着いているかは、その時のことですよ。浦和や鹿島のように、優勝するために築かれたチームならまた話は違いますが、我々は新たな道を歩み始めたばかり。とはいえ、現時点ですでに堅固な土台が出来上がりつつあることもまた確かです。できる限り上を目指すというのは当然のこと。謙虚さを失わず、毎日のトレーニングを積み重ね、毎週の試合を戦っていけば、最後には大きな満足を得ることも不可能ではないと思っています」
取材・文:片野道郎
※フィッカデンティ監督にさらに迫ったインタビューは週刊サッカーダイジェスト9月17日発売号に掲載予定です。
【プロフィール】
マッシモ・フィッカデンティ
1967年11月6日生まれ、イタリア中部のフェルモ出身。現役時代はMFで、ヴェローナやトリノなどに在籍。引退後の2002年に指導者となり、古巣ヴェローナやレッジーナ、ピアチェンツァなどの監督を歴任し、10-11シーズンにはセリエAのチェゼーナで長友佑都を指導した。11年から率いたカリアリでは解任・再登板・解任とオーナーに振り回され、これといった結果を残せなかったが、組織構築には定評がある。