【インタビュー】清水・大榎克己監督「ロボットはいらない」

カテゴリ:Jリーグ

増山直樹(サッカーダイジェスト)

2014年08月23日

必要なのは「アップ、アップ、バック」。

ゴトビ解任を受け、ユースから昇格してトップチームを率いることになった大榎監督。戸惑いはあったが、最後は腹をくくったと言う。 (C) SOCCER DIGEST

画像を見る

――改めて就任までの経緯を教えてください。
「本当に急でした。(監督として)クラブユース選手権に出場中、社長から連絡があって。決まったのは(7月)28日に帰ってきて、次の日にクラブと話してからです。数日間で話が進みました」
 
――自身初めてのJ1の監督です。どんな気持ちで引き受けましたか?
「いつかチャンスがあればと思っていましたが、準備期間がないこのタイミングで、戸惑いはありました。ゴトビさんが解任されるのであれば、個人的には今のスタッフが引き継いだほうがスムーズだと思い、実際にそう伝えました。ただ最終的には『腹をくくろう』という感じですね」
 
――ユースの監督として、トップチームのプレーにどんな印象を抱いていましたか?
「システム的にはユースと変わらないなと。ただ、トップは攻撃時もバランスを崩さず、システム上の形のまま攻めるケースが多い。ポジションチェンジや、味方を追い越す動き、モビリティーの部分で違いを感じていました。ゴトビさんはバランスをとても大事にされていたのでしょう」
 
――バランス重視には、良い面も悪い面もあると思います。
「それはもう、それぞれの考え方なので。攻撃時に陣形を崩さなければ、たとえボールを奪われても素早く守備に移れますし。メリットとデメリットは当然あります」
 
――チームの感触、雰囲気は?
「選手のやる気やモチベーションは感じます。雰囲気は悪くない。でも、やはり自分が思うサッカーとは離れている部分があります。特に守備。17節の柏戦のビデオを観ても、勝ちはしましたが守備に不安が感じられた。その危険な部分が、18節のFC東京戦で失点につながりました」
 
――確かに裏を突かれる場面が多く見られました。ラインコントロールに問題があると?
「そうですね。陣形はコンパクトにしたいし、最終ラインを上げるのはいい。問題なのは、相手からパスが出そうな時に守備の準備ができていないこと。そして、ボールに競っている選手が守備の最後尾にいる、つまりはボールとゴールの間に人がいない状態を作りすぎることです」
 
――ボールの状態が見極められていない、ということでしょうか?
「長いボールが出ない時は、当然コンパクトにして近くを埋めたい。一方で、相手が前を向いてフリーでボールを保持していれば、ただラインを上げるだけでは背後を狙われてしまう。必要なのは『アップ、アップ、バック』。今まではラインが『アップ、アップ、ストップ』、時にはもうひとつアップっていうように前へのイメージが強すぎた。相手がクサビだけを入れてきてくれればOKですが、そこは向こうも研究してきます。16節のガンバ戦を観ても、(長谷川)健太は明らかにDFの背後を狙ってきていましたね」
 
――攻撃面は? 先ほどユースのやり方とは違うと話していましたが。
「ボールがサイドに行った時にプレーの選択肢が少なく、数的優位もできていません。選手の距離が遠い。結果、ボールは“Uの字”に動くだけで、バイタルエリアや中央に入らない。だから攻撃が個人の突破に頼らざるを得ない。もっとサポートを増やして、流動性やスペースを作る動きを大事にする。その辺の細かさが肝心だと思うんです。この前のFC東京戦では、サイドチェンジをしたにもかかわらず、逆に相手の人数のほうが多い状況があった。『こっちに大勢いるのになんで同サイドから崩さないんだよ』と。『多いサイドで行こうよ、そこで仕掛けようよ』と映像を観ながら説明しました」
 
――選手には、これまでの攻め方が染みついているんですね。
「それはあります。ただ、パスをさばく感覚とか、ボールを動かすリズムは非常に良い。そのトレーニングはしっかりやってきたと思うんです。でもパスの意識が強すぎて、ボールをもらっても前を向かない。前でプレーする意識が薄いとか、そういう癖がついているのも事実です」
【関連記事】
【清水】新監督・大榎克己の人物像「先行き不透明な時代を支えたクラブ愛に溢れる男」
【2014 J1寸評・採点|20節】仙台対清水
【2014 J1寸評・採点|19節】清水対徳島
【J1 リーグ再開!】週刊サッカーダイジェスト担当記者のチーム展望 清水編
【J1コラム】フォルランが本田化? 降格の危機が忍び寄るセレッソ

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ