目指すサッカーの方向性に手倉森監督は適任なのか?
ただし、五輪組が台頭してくるためには、A代表と五輪代表の整合性が不可欠である。ドイツ、スペインなどヨーロッパの強豪国は、U-21代表(日本の五輪代表に相当)を見ても、目指すサッカーの方向性をA代表と一にしている。
日本の場合、フィリップ・トルシエがふたつの代表を指揮していた02年大会では、両者のサッカーが完全にリンクしていた。だが、一方でふたつの代表が意志疎通を欠いた06年大会はほとんどリンクせず、五輪組の登用も進まなかった。
ブラジル大会でも志向するサッカーの違いから、ロンドン五輪に出場できなかった大迫がメンバー入りしていたが、こうしたチグハグさは解消されなければならない。
では、次のリオ五輪はどうか。そこには少なからず不安を感じている。五輪(U-21)代表を率いる手倉森誠が仙台を指揮していた当時、主に志向していたのは堅守速攻。ポゼッションサッカーにも手をつけたが、成功したとはとても言えない。
A代表の新監督が決まっていない以上、はっきりとしたことは分からないが、あくまで現状での年代別を含めた日本代表の目指しているサッカーを考えれば、一貫性を欠いた人事に見える。誤解のないようにしなければならないのは、手倉森の手腕を否定しているわけではないということだ。あくまでも、日本代表が目指すサッカーの方向性において、適任かどうかの話である。
リオ五輪で結果を残すことももちろん大事だが、だからといって、メンバーのなかからひとりもA代表に上がれなかったのでは、本末転倒だ。4年後を見据え、正しくA代表と五輪代表がリンクしているのかどうか。そこは今後の経過をしっかりと見ていく必要があるだろう。
まずはリオ五輪に出場し、世界の舞台を経験すること。その後は、新監督就任から2年が経過し、そろそろマンネリが生まれるであろうA代表を活性化する。これがリオ世代に課された役割である。
リオ世代がどれだけA代表を突き上げてくるかで、4年後の結果が決まると言っても過言ではない。これは若手への期待を込めた単なる一般論ではなく、過去の歴史が物語る「勝利の法則」なのである。
取材・文:浅田真樹(スポーツライター)
日本の場合、フィリップ・トルシエがふたつの代表を指揮していた02年大会では、両者のサッカーが完全にリンクしていた。だが、一方でふたつの代表が意志疎通を欠いた06年大会はほとんどリンクせず、五輪組の登用も進まなかった。
ブラジル大会でも志向するサッカーの違いから、ロンドン五輪に出場できなかった大迫がメンバー入りしていたが、こうしたチグハグさは解消されなければならない。
では、次のリオ五輪はどうか。そこには少なからず不安を感じている。五輪(U-21)代表を率いる手倉森誠が仙台を指揮していた当時、主に志向していたのは堅守速攻。ポゼッションサッカーにも手をつけたが、成功したとはとても言えない。
A代表の新監督が決まっていない以上、はっきりとしたことは分からないが、あくまで現状での年代別を含めた日本代表の目指しているサッカーを考えれば、一貫性を欠いた人事に見える。誤解のないようにしなければならないのは、手倉森の手腕を否定しているわけではないということだ。あくまでも、日本代表が目指すサッカーの方向性において、適任かどうかの話である。
リオ五輪で結果を残すことももちろん大事だが、だからといって、メンバーのなかからひとりもA代表に上がれなかったのでは、本末転倒だ。4年後を見据え、正しくA代表と五輪代表がリンクしているのかどうか。そこは今後の経過をしっかりと見ていく必要があるだろう。
まずはリオ五輪に出場し、世界の舞台を経験すること。その後は、新監督就任から2年が経過し、そろそろマンネリが生まれるであろうA代表を活性化する。これがリオ世代に課された役割である。
リオ世代がどれだけA代表を突き上げてくるかで、4年後の結果が決まると言っても過言ではない。これは若手への期待を込めた単なる一般論ではなく、過去の歴史が物語る「勝利の法則」なのである。
取材・文:浅田真樹(スポーツライター)