サウサンプトン残留の背景にあった変革と、その中心にいた「素晴らしい男」吉田麻也

カテゴリ:海外日本人

竹山友陽

2018年05月15日

チームを立て直したヒューズが語った吉田への信頼。

シーズン最終戦の直後に吉田への信頼を口にした闘将ヒューズ。この54歳ウェールズ人監督による変革がなければ、サウサンプトンは降格の憂き目に遭っていたかもしれない。 (C) Getty Images

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 3月14日に就任したヒューズ新監督にとって、シーズン終了までの数か月間でやれることは限られ、細かな戦術を落とし込むことできなかった。だが、数試合を消化する頃には、選手たちのメンタル面に変化が生まれ、それがプレーにも表われ始めた。

 控え室での反抗的な行動に問題があったソフィアンヌ・ブファルをチームから外し、規律を求めたヒューズの仕事ぶりは見事だった。選手の気持ちを焚きつけ、選手に自信を持たせてプレーさせることは、監督にとって非常に重要なスキルのひとつでもある。

 勝利に対する意識の変化は、準決勝まで勝ち進んでいたFAカップでも垣間見えた。とりわけ目立ったのは、3バックを採用した守備の改善だ。チェルシーに準決勝で0-2と敗れはしたものの、サウサンプトンは数か月間で立て直しに成功した。そして、その中心にいたのは、チーム最古参の吉田であった。

 シティ戦後の記者会見で、ヒューズは3バックへの変更と、吉田をそのセンターに配置した意図を、次のように説明した。

「私にとってリーグ戦での初采配は、アウェーでのウェストハム戦(第31節)だったが、0-3の完敗を喫した。その時、チームは自信を失っていた。そこで3バックにしようと決断した。

 そして、怪我で戦列を離れていたマヤを、DFラインの真ん中に置くことにした。彼はすでに6年、ここでプレーし、クラブへの気持ちも強い。降格圏から抜け出すためには、彼のようなプロフェッショナルが必要であったし、何よりもマヤは人間的に素晴らしい男だ」

 そんなヒューズの手腕による立て直し、さらには吉田の活躍もあり、サウサンプトンは暗くて長いトンネルから何とか抜け出すことができたのである。

「降格しなかったことだけが、今シーズンの良かったこと」と反省をまじえて語った吉田が、来シーズンもサウサンプトンの主軸DFとしてプレーすることは間違いないだろうが、どの監督の下で、どのような布陣で挑むのかは今後、様々な視点から、きちんと分析していきたい。

取材・文:竹山友陽(Tomoharu Takeyama)

【著者プロフィール】
たけやま・ともはる/1985年4月20日生まれ 静岡県浜松市出身。ロンドンメトロポリタン大学スポーツマネージメント学部卒業。現在、西ロンドンにて日系のサッカークラブを運営。イタリア語、スペイン語、英語などの語学力を活かし、英国より日本サッカーの可能性を探る。
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