サウサンプトン残留の背景にあった変革と、その中心にいた「素晴らしい男」吉田麻也

カテゴリ:海外日本人

竹山友陽

2018年05月15日

効率良く回っていたチームのサイクルに狂いが……。

チームを掌握しきれなかったペジェグリーノは、シーズン終了を待たずにクビになった。 (C) Getty Images

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 今シーズン、サウサンプトンは降格圏をさまようチームが見せる、典型的な勝点の取りこぼし方を繰り返した。

 シーズン中盤以降のゲームでは、単純なミスを他人のせいにし合っている場面が散見された。主力選手の移籍や怪我などの影響もあり、ピッチ上で責任を背負って引っ張れるリーダー的な選手がおらず、各ポジションで安定したパフォーマンスを発揮した選手がいなかった。

 そんな中でマウリシオ・ペジェグリーノ前監督の求心力も失われた。チームには躍動感がなく、そして何よりも、全体の方向性が見えてこなかった。

 吉田麻也もシティ戦後の取材で、「(年末年始の)連戦が終わって気が緩んでいたかもしれない。その時に怪我を重ねてしまい、約2か月出場できなかったことが、一番良くなかった」と、チームが苦しんでいる時期に貢献できなかったことを悔やんでいた。

 サウサンプトンのクラブ運営には、一貫した中長期的な方針が存在している。そしてここ5年ほどは、クラブ哲学を共有できる監督を探し当ててきた。

 スカウトしてきた監督の下で、アカデミー出身者と勢いがある売り出し中の若手選手を育て上げる。仮にその選手たちが移籍市場を経てクラブを出ても、そこで獲得した資金をもとに、次にブレークする選手を取り込む。サウサンプトンの方針は、そこにあった。

 そうして効率良く回ってきたサイクルだったが、クロード・ピュエル(現レスター監督)とペジェグリーノが監督を務めた過去2年間は結果と内容が伴わず、クラブ首脳陣へのファンの不満が溜まっていた。

 今シーズンは、首脳陣の判断も後手を踏んでいた。

 シーズン開幕前に退団リクエストをクラブに提出していた主軸CBフィルジル・ファン・ダイクのリバプールへの移籍時期を半年間ずらすという決定は、移籍金を釣り上げるというビジネス面での成功はあったものの、チームの結果に好影響を与えることはなかった。

 求心力が失われたペジェグリーノを更迭させるタイミングは幾度かあったが、首脳陣はなかなか続投の意志を曲げようとせず、ようやくマーク・ヒューズ現体制に舵を切ったのは3月末のことだった。この判断の遅れも、降格争いに巻き込まれる大きな原因だったと言わざるを得ない。
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