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【週刊サッカーダイジェスト編集長の慧眼】「日本化」を追求した8年の集大成として|ブラジルW杯展望

カテゴリ:日本代表

谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)

2014年06月13日

「勇気とバランス」を肝に銘じながら。

攻撃的なサッカーを貫く覚悟を見せたザッケローニ監督。このブラジルW杯は、「日本化」を追求した8年の集大成と言えるだろう。 (C) SOCCER DIGEST

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 ザッケローニ監督は、献身性やアジリティー、足下のテクニックに優れる日本人の特長を十二分に活かし、常に攻撃的でアクションを起こすサッカーを目指してきた。イタリア人らしい緻密な守備スタイルを植え付けながらも、それは決して自陣に引きこもる受け身の“カテナッチョ”ではなく、高い位置からプレスを仕掛けるアグレッシブなもの。奪ったボールは最終ラインから丁寧にビルドアップし、ポゼッションを高めながら相手の守備網を揺さぶり、穴を見つけていく。
 
 そしてオシム監督がクリアできなかった「決定力不足」という課題は今、個々のタレントの質が高まったこともあって、少しずつ解消されているように見える。絶対的なセンターフォワードは現われていないが、アジリティーと連動性を駆使したアタックは、世界を相手にしても、それなりに通用する手応えを感じている。
 
 ザッケローニ監督が選んだ23人の顔ぶれを見るかぎり、4年間で積み上げてきたスタイル以外の戦術を採用する気は、まったくないようだ。
 
 ゲーム終盤のパワープレー要員として考えられるようなFWも、守備固め要員として考えられるような対人の強さと高さに秀でたセンターバックも見当たらない。前回のワールドカップでは得られなかった「日本化」への回答を、我々は今大会で確実に手に入れられるはずだ。
 
 もっとも、それがワールドカップでの好成績に直結するかというと、話は別だ。どれだけ攻撃的で美しいサッカーを演じても、トーナメントで早々と敗れ去っていくチームはいくらでも存在する。
 
 06年にオシム監督が掲げた「日本化」という強化計画のラストピースを考えた時、その答はまさに、「考えて走る」という言葉の中にあるのではないだろうか。
 
 
 自らのスタイルは貫きながらも、選手一人ひとりが戦況を見極め、柔軟に、賢く戦い方を変えていく。前から行けるところは行く、引いて守るべき時間帯は守る――。ザッケローニ監督が口を酸っぱくして言う「勇気とバランス」を判断する力は、ワールドカップという大舞台で「日本化」の最終形を示すうえで、最も不可欠なものであるはずだ。
 
 奇しくも4年前と同じ6月14日に、日本は初戦を戦う。相手も同じアフリカ勢のコートジボワール。堅守のギリシャ、攻守にハイレベルなシード国のコロンビアに比べれば、ここまで積み上げてきたものを発揮しやすい相手だろう。トゥーレ・ヤヤ、ディディエ・ドログバらを擁する攻撃陣は脅威だが、守備面で脆さも垣間見える。
 
「勇気とバランス」を肝に銘じながら、今度こそ、06年以降の日本代表が目指しつづけたアグレッシブなスタイルで勝点3を掴み、世界に驚きを与えたい。
 
文:谷沢直也(週刊サッカーダイジェスト編集長)
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