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【週刊サッカーダイジェスト編集長の慧眼】「日本化」を追求した8年の集大成として|ブラジルW杯展望

カテゴリ:日本代表

谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)

2014年06月13日

新陳代謝を怠らなかった岡田前監督の功績。

オシム氏の後を継いだ岡田前監督。前任者の方向性を踏襲しつつも、南アフリカW杯では守備的な戦術を採用し、ベスト16入りを果たす。 (C) SOCCER DIGEST

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 後任の岡田監督も、基本的には「日本化」を継承している。もちろん、監督によってサッカー観も指導法も異なるため、すべてが同じコンセプトではなかったとはいえ、「接近・展開・連続」などの言葉を用いて目指したサッカーは、日本人の特長を攻撃面で活かそうとするもので、「守備的」と言われた横浜時代のスタイルとは、明らかに一線を画していた。
 
 だが前述したとおり、最終的には岡田監督らしい守備的スタイルによって、南アフリカでの成功がもたらされる。当初目指していた「日本化」の成否は、結局この大会では示されなかったのである。代わりに、06年ドイツでは発揮できなかった「チーム一丸となって戦う」という、日本人らしい強みは取り戻せたのだが……。
 
 個人的に岡田監督の最大の功績は、「チームの新陳代謝」を怠らなかったことだと思っている。06年ドイツの日本代表からメンバーを刷新して土台作りを進めたオシム監督と同様、少しでも気になる若手がいたらすぐに招集し、テストした。
 
 08年1月の就任初戦で19歳の内田篤人をスタメンに抜擢すれば、5月にはJ2で結果を残していた香川真司を同じく19歳でA代表デビューさせている。北京五輪前後に長友佑都、岡崎慎司を招集。本田圭佑はオランダで存在感を発揮し始めた時期を見逃さず、09年から段階的にチームに組み込んでいった。彼ら北京五輪代表メンバーが、20代前半の時期にA代表でも主力を担ったことは、間違いなく大きな財産となって今に引き継がれている。
 
 こうした強化の流れを踏まえて現在の日本代表を見た時、今回のブラジル・ワールドカップはアルベルト・ザッケローニ体制下での4年間の集大成であることはもちろん、日本サッカー界にとって「8年」という長いサイクルの、ひとつの終着点でもあると感じる。
 
 先日発売した小誌『週刊サッカーダイジェストNo.1287』に掲載したインタビューで、オシム氏が、
「最近の日本代表の試合を観ていると、あの頃を思い出す。オーストリア戦だ(07年9月/0-0)。美しいショートパスをつなぎ、試合を支配し、相手にほとんどなにもさせなかった」
 と話しているのを読んで、その思いはさらに強くなったのである。
 
 06年以降の3人の監督が掲げたチーム作りのコンセプトや哲学は、それぞれ異なるものだ。ただ、ドイツでの敗北をスタートラインにして、日本代表が「日本化」を掲げて再出発した大きな流れと、現在のザッケローニ監督が目指すサッカーは、大局的な視点で見れば同じ方向を向いている。
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