W杯メンバーから読み解く近未来の日本代表は?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年05月13日

成功例の増加で育成プロセスを描きやすくなったJクラブ

Jリーグ2連覇に貢献するなど、広島の青山は国内での着実なアピールで逆転代表入りを果たした。 (C) SOCCER DIGEST

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 結局フットボーラーにとって最大のテーマは、早期自立と能力に即した刺激なのだと思う。本田も香川も早くからしっかりと目標を定めて、親許を離れて生活をした。海外へ飛び出すのは言うまでもないが、敢えてJ2という厳しい環境へ放り出すのも、エリートから本物の戦士へと叩き上げる重要なプロセスだと捉えることができる。もともと生活を賭けた有意義な実戦経験を重ねられるなら、プロが大学生に逆転される不可思議な現象は、滅多に起こらないはずなのだ。
 
 改めて前回南アフリカ大会当時と比較しても、この4年間で日本サッカー界の熟成は確実に進んだ。香川、本田、長友らを通して日本人選手の評価が高まり、彼我が接近して選択肢が増えた。
 
 一方で海外に出ることの希少価値が減り、今度は欧州組と国内組が比較的公平な競争に晒されることになった。今回はヘルタ・ベルリンやフィテッセでコンスタントにプレーして来た細貝萌やハーフナー・マイクを、国内でアピールを続けた青山敏弘や大久保嘉人が、逆転での抜擢にこぎ着けた。
 また山口蛍や柿谷を見れば、Jリーグで結果を出し続けていれば、国際試合でも同じような活躍が見込めることが分かる。つまり明暗を分けたのは、最も成長できる環境の選別だったということになる。
 
 4年前は、中村俊や本田に象徴されるように、一度エリートからふるい落とされた選手たちの反骨の強さにスポットが当たった。今回の23人を見渡しても、それぞれが少なからず浮き沈みを経験している。ただし今後は、真のタレントを効率良く育て上げるための一層ハイレベルな競争が激化していくのではないだろうか。
 
 もちろん中村憲剛のような極めて稀な遅咲き発掘の可能性を、完全に否定するわけではない。早い段階でエリートからこぼれても、浮上を探るシステムが整っているのも日本の長所だ。だが今回いくつもの成功例を出したことで、Jクラブも真のエリートの育成プロセスを描けるようになっている。  
 
 今、おそらく日本サッカー界は、ちょうど時代の分岐点を迎えている。
 
文:加部 究(スポーツライター)
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