週刊サッカーダイジェスト編集部・日本代表担当によるW杯シミュレーション

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月13日

対戦相手に合わせてスタイルを変える必要性はない。

とにもかくにも出場メンバーは決まった。ザックジャパン4年間の集大成は、いかなる形で表われるのだろうか。 (C) SOCCER DIGEST

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 ギリシャはシンプルで鋭いカウンターを得意としているが、リスクマネジメントという意味で、運動量が豊富で守備範囲も広い山口螢をボランチに置く可能性がある。昨年11月のオランダ、ベルギー戦では、山口&長谷部誠の2ボランチが先発し、後半から遠藤保仁を投入して流れを変える形を取った。是が非でもギリシャ戦で勝利が必要な場合、手堅く守備重視で入りながら、勝負どころで遠藤という強烈なカードを切る展開もありそうだ。
 
 第3戦のコロンビア戦(6月24日)での戦い方は、前の2戦の結果に大きく左右される。日本の置かれた状況によっては、勝利が最優先ではなくなるためだ。勝利が不可欠という前提で話を進めるならば、攻撃面においてはバイタルエリアの活用が鍵を握る。コロンビアは2ボランチと最終ラインの距離が開く傾向にあり、ポストプレーと裏への飛び出しの両方に対応可能な大迫勇也を起用すると揺さぶりを掛けやすい。
 
 守備面では、司令塔のハメス・ロドリゲス、セリエA屈指の快速アタッカーであるファン・ギジェルモ・クアドラードの対応に細心の注意が必要だ。対峙する機会が必然的に多くなるのはSBの長友佑都や内田篤人だが、スピード勝負であれば決して引けを取らない。チャレンジ&カバーを徹底すれば、易々と失点は喫しないはずだ。
 
 こうして3か国との対戦を考えると、相手に合わせて日本のスタイルを変える必要性は感じられず、「主導権を握って戦うのが大前提」というザッケローニ監督の言葉にも頷ける。もっとも“保険”は忘れていない。「そうできない(主導権を握れない)ことも想定にある。そういう時に備えて、戦術的準備は進めてきたつもりだ」。いまやめっきり見なくなった3-4-3も保険のひとつであり、その他にも本田のCFや遠藤のトップ下、または酒井高徳を左SBに入れて長友を2列目に上げる形など、様々なオプションが存在する。
 
 12日のメンバー発表会見で、指揮官は「ブラジルに来るべき選手が23人以上いたし、絞る作業は難しかった」と心情を素直に吐露した一方、「4年をかけて232試合の視察を重ね、この23人を選んだ」と自信も覗かせている。
 
信頼を寄せる23人の精鋭とともに、日本が追求してきたポゼッション志向の攻撃サッカーで、史上最高の結果を残せるか。あるいはブラジルの地であっけなく玉砕するのか。たとえどちらに転んでも、「日本のスタイルを貫く」というザッケローニ監督の勇気ある決断には敬意を表したい。
 
文:大木 勇(週刊サッカーダイジェスト日本代表担当)
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