【W杯ドキュメント】メンバー発表のドラマ|岡田監督が重視したコンセプトと闘争心

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月10日

戦う集団にするために投入された“第3GK”川口

ピッチ上はさることながら、ベンチにいてもチームに影響を与えられる川口のような存在が、この時の代表には不可欠だった。 (C) SOCCER DIGEST

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 多くの名勝負が後世に語り継がれていくワールドカップだが、4年に一度の大舞台に立つ権利を得るための、チーム内での争いは激しく、時に本大会での記憶が霞むほどのドラマを生み出すこともある。
 
 ブラジルへ向かう23選手の発表が目前に迫った今、過去4大会の“運命の瞬間”を、週刊サッカーダイジェストの当時のレポートで振り返っていく。
 
 最終回は、まだ記憶に新しい4年前、逆風吹き荒れるなかで23名が発表された、2010年南アフリカ大会だ。
 
――◆――◆――
 
 記者会見開始から約5分、岡田武史監督自らが読み上げ始めた23人のメンバーリストにはやはりというべきか、4年に一度のワールドカップメンバー発表には付きものと言える、サプライズが用意されていた。
 
 淡々と落ち着いた口調で3番目に呼ばれた名前は「川口」。ワールドカップに過去3大会連続出場するなど、日本人としてトップクラスの国際経験を誇るGKの川口能活だが、09年1月のバーレーン戦以来、代表から遠ざかり、昨年9月には右足頚骨を骨折。つい先日、練習試合で実践復帰を果たしたばかりである。戦力としてはほとんど計算ができないベテランを敢えて入れた理由について、指揮官はこう語っている。
 
「第3GKという非常に難しいポジションのなかで、彼のリーダーシップ、このチームのなかでも一目置かれている彼の存在というのが、大会を戦ってくうえでどうしても必要だと考えて選出しました」
 
 以前から、現代表には真のリーダーシップを持つ選手がいないという指摘が何度かされている。先頭に立ってチームをけん引し、苦境に立たされた時にこそ声を張り上げ、仲間を鼓舞する。例えば、今年2月に国立で行われた東アジア選手権の韓国戦。1‐2で迎えた70分に韓国に3点目を奪われた瞬間、日本の選手たちはガックリと肩を落とし、そのまま成す術なく敗れた。
 
 おそらく指揮官はこの頃から、02年日韓大会の中山雅史や秋田豊のように、たとえベンチメンバーであっても、日頃の振る舞いを含めてチームに闘争心を植え付けられるような選手を探していたのではないだろうか。
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