週刊サッカーダイジェスト編集部・日本代表担当によるW杯シミュレーション

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月13日

激戦区5枠の顔ぶれで見えたグループC突破の青写真。

2戦目以降の戦い方に大きな影響を与えるコートジボワール戦。ドログバ(写真)ら警戒すべき選手は多いが、勝機は十分に見出せる。  (C) Getty Images

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 また、現体制下で17試合・4ゴールのハーフナー・マイクや、東アジアカップでテストされた豊田陽平が外れたのも示唆に富む。指揮官は「高さ」というエッセンスを取り込もうとこれまで苦心していたが、結局、スピードやテクニックに長けた大久保や齋藤を選出した。極論を言えば、地上戦と空中戦を天秤にかけて、後者を見切ったと言えるだろう。
 
 指揮官はチーム作りの針を「地上戦に特化したチーム」へと振り、その結果としてオールラウンダーの大迫、展開力に定評のある青山、守備のユーティリティーでフィード力を兼備した伊野波を選んだのだ。単純に高さを強化しようと思えば、ハーフナーや豊田、栗原勇蔵、田中マルクス闘莉王ら空中戦に強い選手が欲しいと思うのは自然だろう。しかし、指揮官は決断したのだ。地上戦に特化したチームで、パス主体の攻撃サッカーを貫くと。
 
 約1か月後の6月14日、ワールドカップ初戦の相手はコートジボワール。攻守に一流のタレントを揃えるなか、アフリカ特有のパワーとスピードに加えて、フィジカルレベルも世界的に見て高い。日本のアキレス腱であるフィジカルと高さを両方とも備えており、その部分ではおそらく日本が劣勢を強いられるだろう。
 
 ただ個の能力が突出している一方、コートジボワールの組織力は未成熟な面もあり、日本のパスワークが冴え渡れば十分に攻略可能。フィジカルや高さの差を埋めるより、日本のストロングポイントを前面に押し出した方が勝機は増す――。ザッケローニ監督はそう判断したはずで、だからこそ地上戦仕様のメンバーを選出したのだ。仮に拮抗状態で推移した場合、敵の運動量が落ちて陣形が間延びした終盤こそ、齋藤や大久保のアジリティーが活きるに違いない。
 
 攻撃陣には189センチのディディエ・ドログバ、188センチのトゥーレ・ヤヤら屈強なアタッカーが並ぶが、前線からのプレッシングでパスの出し手を潰しつつ、小まめなラインの上げ下げでプレーする時間と自由を奪えば、リスクは軽減する。とはいえ空中戦では分が悪いだけに、不用意なファウルは可能な限り避けたい。機動力と連動性で上回れるか。そこが勝利のポイントとなりそうだ。
 
 コートジボワール戦の結果次第では当然、第2戦のギリシャ戦(6月19日)で勝点3の獲得が必要になる。最大の焦点は、欧州予選10試合でわずか4失点の堅守をいかにこじ開けるか。相手のCBには185~190センチ級が揃い、単純な空中戦は得策でない。放り込みには滅法強い反面、裏への飛び出しに対しては対応が甘くなる傾向があるだけに、隙間を縫うように裏を狙う柿谷曜一朗の起用が有効だろう。ザッケローニ監督が言う「自分たちのサッカー」が機能すれば、ゴールは十分に奪えるはずだ。
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