ルーツを訪ねて|ディエゴ・フォルラン

カテゴリ:Jリーグ

チヅル・デ・ガルシア

2014年02月19日

インデペンディエンテ入団

高いレベルを求めてアルゼンチンへと渡った決断が、後の、02年日韓ワールドカップでの高評価に繋がったと、言える。 (C) Getty Images

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 ディエゴがプロへの第一歩を踏み出した場所は、若き日の父がプロデビューを飾ったクラブ、ペニャロールだった。

 あっさりと入団テストに合格したディエゴは、下部組織で本格的なトレーニングを開始。ラウン・テニスクラブ時代に開花したストライカーとしての才能は、ますます磨きがかかっていった。

 プロをめざしてクラブの下部組織に入団すると、学業との両立が難しくなり、学校を中退するケースが多い。だがディエゴは学校をやめようとはしなかった。カラスコ地区に住む他の裕福な家庭の子供たちと同じように、彼もまたモンテビオ市内の名門私立校に通っていた。

 父パブロは当時をこう振り返る。

 「ディエゴはとにかくいろんなことに興味を持つ子だった。スポーツだって、サッカーだけじゃなくテニスも好きで、ゴルフもバスケットも水上スキーも全部好き。しかも彼は、そのすべてを上手にこなすことができたんだ。学校の勉強もそうしたもののひとつととらえていたんじゃないかな。あの子なりに両立する手段を考えながら、どちらも中途半端にならないように頑張っていたよ」

 97年、下部組織の最終カテゴリーにあたる4軍に昇格する年に、ディエゴはペニャロールを退団してダヌビオに入団する。ダヌビオでは、ダニエル・マルティネスというコーチに出会い、彼の元で1年間、ディエゴは相手ゴール前でのスペースの作り方と使い方を徹底的に学んだ。

 「ディエゴはピッチの中で、消えては現れるタイプのストライカー。前線でボールを持つだけじゃなく、中盤でゲームメイクにも参加して相手のマークを混乱させることにも長けていた。ただ仲間のパスを呼び込むようなプレーはほぼ皆無だったんだ。そこでわたしは、彼にエリア付近でどのように動けば、理想的なパスを引き出すことができるかを教え込んだんだ」(マルティネス・コーチ)

 そして1年後の98年1月、ウルグアイでは自分の追及するレベルまで成長ができないと判断したディエゴは、アルゼンチンに渡った。

 父パブロは当初、ブラジル行きを勧めた。かつて在籍したサンパウロとクルゼイロに、強いコネクションを持っていたからだ。だがディエゴは、言葉も生活習慣もウルグアイと変わらないアルゼンチンを選択。そこで父パブロは、現役時代の友人オマール・パストリサが監督を務めていたインデペンディエンテに、息子を送り込んだ。

 ただ、“パブロ・フォルランの息子”という肩書が通用するのは、入団テストを受けるまで。不合格となるか、合格しても下部組織行きを命じられるか、そのままプロ契約にこぎつけられるかは、本人の実力次第である。しかもディエゴは、ウルグアイ代表DFとして二度のワールドカップに出場した父とはまるで異なるストライカーとしての美徳をアピールしなければならなかったのだ。

 結果から言えばディエゴはテストに合格した。プロ契約には至らなかったものの、彼はインデペンディエンテの4軍に入ることができたのだった。

 インデペンディエンテでは当初、地方から来ている仲間と一緒にクラブの宿舎で生活。ウルグアイでは、自分と同じように経済的に恵まれた環境に育ち、十分な学校教育を受けている友人とばかり遊んでいたが、インデペンディエンテの宿舎には貧しい家庭から来ている選手や、学校にいったことがない選手がたくさんいた。

 ディエゴはそんな仲間たちともすぐに意気投合した。有名な選手の息子であることも、ウルグアイの高級住宅街に住んでいたことも、ここインデペンディエンテではなんの意味も持たないし、それ自体が自分にとってどうでもいいことのように思えた。なぜなら、このときもっとも重要なことは「プロ契約」という目標を達成できるかどうかだったからだ。

 そして98年10月、ディエゴはついに1軍デビューを果たす。その勇姿を見るため、ウルグアイからは家族だけでなく、ラウン・テニスクラブ時代の友人たちも大勢で応援に駆けつけた。

 DFの当たりが激しく、パスやドリブルが独特のテンポで繰り出されるアルゼンチン・リーグは、外国人ストライカーがもっとも活躍しにくいリーグだと言われている。だが、ディエゴは2年目以降、安定したパフォーマンスを披露し、3年目にあたる2000-01シーズンには、前・後期合わせて大量18ゴールを叩き出した。そして、『ウルグアイからやってきたテニスが得意なストライカー』は、人柄の良さも手伝って一躍人気者となったのだった。

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