ルーツを訪ねて|ディエゴ・フォルラン

カテゴリ:Jリーグ

チヅル・デ・ガルシア

2014年02月19日

サッカーとテニスの天才児

テレビでも生中継された入団会見では、ウルグアイの日本大使館で習った日本語であいさつをし、メディアやファンを驚かせた。 (C) Getty Images

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セレッソ大阪に移籍し、話題を呼んでいるディエゴ・フォルラン―――。高い技術と卓越したシュートセンスを兼ね備えたウルグアイ代表ストライカーは、2014シーズンのJリーグの主役候補だ。

 2010年のワールドカップで大会MVPを獲得したフォルランは、いかにして世界屈指のクラック(名手)になりえたのか……。ウルグアイ復権の鍵を握った男の知られざる過去に迫るため、『ワールドサッカーダイジェスト2008年2月7日号』掲載の連載企画『ルーツを訪ねて』を振り返る。


 ウルグアイの首都モンテビオに、カラスコという地区がある。閑静な一帯に巨大な豪邸が建ち並ぶ、市内で、いや国内でもっとも高級な住宅街だ。

 プロのサッカー選手だったパブロ・フォルランは、1978年にブラジルから母国に戻ったとき、この町に住居を構えた。妻ピラールとの間にはすでに、男の子ひとりと女の子がふたり(長男パブロ、長女アドリアーナ、次女アレハンドラ)いたが、フォルラン夫妻はもうひとり、それも男の子を授かることを望んでいた。カラスコの豪邸も大家族になることを想定して建てたものだった。

 父パブロは18歳のとき、ウルグアイの名門ペニャロールでプロデビューを飾り、長身ストッパーとして活躍。ウルグアイ代表にも選出され、ワールドカップも66年イングランド大会と74年西ドイツ大会に出場した。

 ペニャロール退団後は、ブラジルのサンパウロとクルゼイロでプレーし、その後は母国に戻って、78年にナシオナル・モンテビデオに入団。ここで1シーズンを過ごした後、84年に現役を退くまでデフェンソールでプレーした。

 「息子をもうひとり」

 というパブロとピラールの願いは、79年5月19日に叶う。フォルラン家に誕生した4人目の子供は元気な男の子で、ディエゴと名付けられた。

 ディエゴは兄や姉たちと同様、スポーツが大好きな子供だった。父はディエゴにサッカーボールを与え、いつもボールを蹴らせていたが、彼が好きだったのはサッカーだけではなかった。目にするすべての競技に、ディエゴ少年は興味を抱いたのである。

 父パブロは語る。

 「うちの子供たちはみんなスポーツが大好きだったが、ディエゴはとくに運動神経が良くてね。サッカーもバスケットも、なんでも器用にこなしたものさ」

 ディエゴは週末になると、兄や姉たちと一緒に、近所の『カラスコ・ラウン・テニスクラブ』でスポーツを楽しんだ。

 裕福な人たちだけが集まるこのスポーツクラブには、テニスやパドルテニス、水泳、そしてサッカーといったスポーツに、本格的に取り組めるだけの最新設備が整っていた。ここでディエゴは5歳からサッカーを始めたのだが、小学校にあがる頃にはサッカーと同じぐらいテニスにも熱を入れていた。

 実際、クラブで子供たちにテニスを指導していたコーチは「息子さんはテニスの才能があります。プロをめざして、今から本格的にやらせてみてはいかがでしょうか。絶対に後悔することはないと思いますが……」と、それこそ父パブロの顔を見るたびに、本気で説得してきたという。

 「みんな目が真剣だったから、おそらくディエゴには、本当にテニスの才能があったんだろう。なかには『テニスならウルグアイよりアルゼンチンのほうが優れた指導者がいます。紹介状が必要なときは相談に乗りますよ』って、そこまで言ってくれるコーチもいたほどだからね」

 しかし父パブロは、ディエゴをプロのサッカー選手にすると決めていた。それが彼自身の夢であり、目標でもあったのだ。これについては母ピラールも同意見だった。彼女の実父、つまりはディエゴにとっては祖父にあたるファン・カルロス・コラッソは、60年代ウルグアイ代表監督を務めていた人物(62年ワールドカップで指揮)。つまり代表監督を父に持ち、代表選手の妻となったピラールにとっても、テニスよりもサッカーのほうが身近なスポーツだったのだ。

 ただパブロもピラールも、息子のディエゴからテニスを取り上げようとしたことは一度もなかった。

 「テニスは上半身だけでなく、足腰も鍛えられるし、ボールが飛んできた方向に素早く走り寄らなければいけないから、集中力や瞬発力が磨かれる。つまり、サッカーのトレーニングとして、テニスは最適なスポーツだったんだ」

 また父パブロは、ディエゴに利き足だけでなく両方の足でボールを蹴る練習を、幼い頃から何度も繰り返しさせていた。それは彼自身が、現役生活の中でずっと思い知らされてきたことだったからだ。

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