• トップ
  • ニュース一覧
  • シメオネ・アトレティコの「独自トレーニング」を考察。異彩を放つハイインテンシティーの源とは?

シメオネ・アトレティコの「独自トレーニング」を考察。異彩を放つハイインテンシティーの源とは?

カテゴリ:ワールド

カルレス・クアドラット

2017年03月17日

時代の流れに逆らうロングボール練習も躊躇なく導入する。

ガメイロ(右)やグリエーズマン(左)など、FW陣は連携を重視したトレーニングを行なう。(C)Getty Images

画像を見る

 他のポジションの練習内容も説明しよう。まずFWは、アントワーヌ・グリエーズマン、フェルナンド・トーレス、ケビン・ガメイロらにペアを組ませ、実際の試合でメインにプレーするポジションに配置。そして、お互いパス交換やオフ・ザ・ボールの動きでスペースを突くなどして、フィニッシュまで持っていかせる。こうした反復練習を2対1、3対2など試合に即したシチュエーションで行ない、コンビネーションを磨いていく。
 
 次にMFは、まず自陣のペナルティーエリア近くで待機。2本の短いパス交換を経てロングボールを放り込ませた後、相手ゴールめがけて長い距離を走らせ、そのリターンボールをシュートさせる。まさにボックス・トゥ・ボックス型のMFの動きで、コケやサウール・ニゲスが実際の試合でよく見せるプレーだ。
 
 最後にSBは、自陣で味方とパス交換をさせた後、一気にサイドを駆け上がらせる。そのまま敵陣のバイタルエリアに入ろうかというタイミングで、味方からのリターンパス。ドリブルやフェイントでコーンやダミー人形をかわさせた後、中央にクロス、という流れだ。
 
 すべてのトレーニングに共通しているのは、試合に即したシチュエーションの下で連続して行なう点に重点を置いていること。これによりテクニックと戦術眼に加え、フィジカル、メンタルの心身両面をシメオネ・サッカーの肝であるハイインテンシティーに耐えられるレベルにまで引き上げていくわけだ。
 
 シメオネ流トレーニングのもうひとつの特徴も、まさにこのポジション別の練習に如実に表われている。パスによるポゼッション保持を最初から放棄しているかのように、躊躇なくロングボールを放り込むメニューを頻繁に取り入れているのだ。
 
 バルセロナやスペイン代表の躍進でパスサッカーが脚光を浴びて以来、中盤を省略してDFにロングボールを蹴らせるだけの練習は、「時代遅れ」という考えが監督たちの間で定着した。したがってどこのチームでも、ポジショニング、スモールスペースでのパス回しにポイントを置いたメニューを練習に取り入れるようになった。
 
 しかし、極めて現実主義であるシメオネは、その点を完全に割り切っている印象だ。それこそバルサのように最終ラインと中盤にパスワークに長けた人材が揃っていない以上、無理に繋ごうとしてもリスクが高すぎる。ならば、間違った意識を選手たちに与える危険性のある練習は必要ない――。それがシメオネの考え方なのだろう。
【関連記事】
ネイマールやメッシの練習内容とは? 最強軍団バルサの知られざる「トレーニング・メソッド」
「ネイマールはメッシやC・ロナウドと同レベル」ロナウジーニョが後輩、古巣、去就について語る
「クラブで控えの選手は代表入りの資格なし」モロッコ代表主将の心意気に本田と長友は何を思う?
【欧州蹴球4コマ漫画】ブッフォンが「レスターとは当たりたくない」と語った本当の理由
補強費は210億円! 13人をリストラへ。CL敗退のマンCが本気の大刷新計画

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ