柴崎岳「スペイン移籍騒動」の舞台裏、テネリフェ加入はむしろ正解?

カテゴリ:海外日本人

下村正幸

2017年02月04日

夏にはラス・パルマスを含む1部クラブへの移籍も。

柴崎はクラブW杯決勝でマドリー相手に2ゴール。この活躍により売り込みが容易になり、今回のスペイン移籍が叶った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト 写真部)

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 そして、フェリックス記者はこう続けた。
 
「しかし、テネリフェならば柴崎にもチャンスはある。中盤は人材が不足しているし、実際、同じく冬の市場でラス・パルマスから加入したタイロンはすぐにデビューを果たしている。ただ、2部はタフなリーグだ。とくに柴崎のようなボールを持ってなんぼの選手は、激しいプレスでなかなか自由にプレーさせてもらえない。まず周りの評価を勝ち取るには、オフ・ザ・ボールの動きやディフェンスもしっかりすること。コーチ陣やチームメイトはもちろん、ファンもそういうところをしっかり見ている」
 
 このフェリックス記者の発言は、同じアス紙に所属するアリツ・ガビロンド記者がラス・パルマスのロケ・メサから聞き出した以下のコメントも裏付けている(『ワールドサッカーダイジェスト』紙の2016年12月1日号にインタビューが掲載された)。
 
「1部と2部には大きな違い、強烈なギャップがある。2部の試合は、フィジカルや戦術的な要素が重視される傾向が強くて、なかなか持ち味を発揮できなかった。よりテクニカルで自由に振る舞える1部での戦いが、僕のプレースタイルには合っている」
 
 奇しくもカナリア諸島の2大クラブを舞台に繰り広げられた今回の柴崎移籍騒動だったが、ライバル意識をむき出しにするファン感情をよそに、両クラブ間の交流は歴史的に盛んに行われている。
 
 ラス・パルマスのラミレス会長はテネリフェの株主を務めてもいるし、戦力をレンタルで貸し出す先のタイロンのようなケースは、スペインの他の同じ町を本拠地にするクラブ同士の間ではまず起こり得ないことだ。
 
 柴崎にとって2部クラブへの移籍は、移籍市場閉鎖が迫るギリギリの中で下したベストとは言えない選択肢だったかもしれない。しかし、クラブやファンから熱烈な歓迎を受け、すでに気持ちを切り替えていることだろう。
 
 前述した通りカナリア諸島に本拠を置く両者には特殊な関係がある。まずはテネリフェで存在感を見せれば、契約満了を迎える今夏には晴れてラス・パルマスへ移籍というシナリオだって起こりうる。2部リーグで大活躍を演じれば、1部の他のクラブからも声が掛かるかもしれない。
 
 すべては本人のパフォーマンス次第。柴崎のスペイン挑戦は、まだ始まったばかりである。
 
文:下村正幸
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