ニアングはミランで選手、監督、首脳陣の怒りを買う。
ここまで見た2人とは正反対に、今シーズンここまで18試合に出場(うち先発が13試合)して3得点・3アシストという実績を挙げ、しかもまだ22歳と伸び盛りのタレントであるにもかかわらず、クラブから放出リストに挙げられたのが、ミランのFWエムバイ・ニアングだ。
1月25日夜のユベントス戦(コッパ・イタリア準々決勝)では招集メンバーからも外され、同日夕方にはプレミアリーグのワトフォードへのレンタル移籍が内定した(メディカルチェック後の正式発表待ち)。
しなやかな体躯に備えられたスピードとテクニックを活かし、開幕から左ウイングでミランの攻撃を担ってきたニアングだが、ここ2ヶ月ほどのコンディション低下(昨年11月にインフルエンザで体調を崩したのがきっかけ)によるスタメン落ちでモチベーションを落とし、残り10分で途中出場した1月16日のトリノ戦で無気力プレーを見せてヴィンチェンツォ・モンテッラ監督だけでなく全チームメイト、そしてクラブ首脳陣の怒りを買っていた。
元々、4年前には未成年で無免許運転、2年前にはフェラーリ大破の事故、さらに昨年2月にも深夜に道路から飛び出す単独事故を起こすなど自動車トラブルを繰り返し、4年前にはフランスU-21代表合宿中の夜遊び、そして昨年10月にはかつてマーカス・ラシュフォード(マンチェスター・U)やクリスチアーノ・ロナウド(R・マドリー)とセックススキャンダルを起こしたヌードモデルとの浮気が報じられるなど、プライベートでは問題行動が多かったニアング。ここにきてピッチ上の振る舞いでもトラブルを起こすようになって、ミランから愛想を尽かされた格好だ。
コッパ・イタリア準々決勝の前日会見でニアングについて訊ねられたモンテッラ監督は、率直にこう答えている。
「浮き沈みのあるプレーヤーで、まだまだ向上すべきところが多い。本人もそのために努力し、今シーズンのある時期にはクラブも私も、そして本人も非常にハッピーになれるところまできた。しかしある時に歩みを止め、後戻りしてしまった。その理由については知らないふりをしておく。少なくとも、ここで言うつもりはない。もしここに残るなら今の困難を乗り越えられるよう力を尽くすつもりだし、もし出て行くのならば幸運を祈りたい」
数日前まで噂に上っていたジェノアへの移籍(ルーカス・オカンポスとのレンタル交換)は本人が拒否して破談になったが、プレミアリーグの複数のクラブが興味を示し、最終的にはワトフォードへの移籍が決まった。
ワトフォードはセリエAのウディネーゼも保有するポッツォ家がオーナーで、チームを率いるのが元ナポリ、インテル監督のワルテル・マッザーリと、プレミアリーグの中でもイタリアとの繋がりがとりわけ深いクラブだ。
移籍形態は買い取りオプション付きのレンタルで、レンタル料が75万ユーロ(約9000万円)、移籍金は1800万ユーロ(約21億6000万円)。ただし、買い取り義務が発生するのはニアングが後半戦に10ゴール決めることが条件となる見込みだ。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行される。
1月25日夜のユベントス戦(コッパ・イタリア準々決勝)では招集メンバーからも外され、同日夕方にはプレミアリーグのワトフォードへのレンタル移籍が内定した(メディカルチェック後の正式発表待ち)。
しなやかな体躯に備えられたスピードとテクニックを活かし、開幕から左ウイングでミランの攻撃を担ってきたニアングだが、ここ2ヶ月ほどのコンディション低下(昨年11月にインフルエンザで体調を崩したのがきっかけ)によるスタメン落ちでモチベーションを落とし、残り10分で途中出場した1月16日のトリノ戦で無気力プレーを見せてヴィンチェンツォ・モンテッラ監督だけでなく全チームメイト、そしてクラブ首脳陣の怒りを買っていた。
元々、4年前には未成年で無免許運転、2年前にはフェラーリ大破の事故、さらに昨年2月にも深夜に道路から飛び出す単独事故を起こすなど自動車トラブルを繰り返し、4年前にはフランスU-21代表合宿中の夜遊び、そして昨年10月にはかつてマーカス・ラシュフォード(マンチェスター・U)やクリスチアーノ・ロナウド(R・マドリー)とセックススキャンダルを起こしたヌードモデルとの浮気が報じられるなど、プライベートでは問題行動が多かったニアング。ここにきてピッチ上の振る舞いでもトラブルを起こすようになって、ミランから愛想を尽かされた格好だ。
コッパ・イタリア準々決勝の前日会見でニアングについて訊ねられたモンテッラ監督は、率直にこう答えている。
「浮き沈みのあるプレーヤーで、まだまだ向上すべきところが多い。本人もそのために努力し、今シーズンのある時期にはクラブも私も、そして本人も非常にハッピーになれるところまできた。しかしある時に歩みを止め、後戻りしてしまった。その理由については知らないふりをしておく。少なくとも、ここで言うつもりはない。もしここに残るなら今の困難を乗り越えられるよう力を尽くすつもりだし、もし出て行くのならば幸運を祈りたい」
数日前まで噂に上っていたジェノアへの移籍(ルーカス・オカンポスとのレンタル交換)は本人が拒否して破談になったが、プレミアリーグの複数のクラブが興味を示し、最終的にはワトフォードへの移籍が決まった。
ワトフォードはセリエAのウディネーゼも保有するポッツォ家がオーナーで、チームを率いるのが元ナポリ、インテル監督のワルテル・マッザーリと、プレミアリーグの中でもイタリアとの繋がりがとりわけ深いクラブだ。
移籍形態は買い取りオプション付きのレンタルで、レンタル料が75万ユーロ(約9000万円)、移籍金は1800万ユーロ(約21億6000万円)。ただし、買い取り義務が発生するのはニアングが後半戦に10ゴール決めることが条件となる見込みだ。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行される。