ミランの中国売却はなし!? 態度豹変のベルルスコーニは「イタリア人中心のチーム」を構想

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2016年12月02日

「ミラン売却は隠し金を還流させるための隠れ蓑」というきな臭い噂。

モンテッラ新監督(左)の下でここまで2位タイと好調なミラン。ベルルスコーニはガッリアーニ副会長(右)とともにクラブに残るのか?(C)Getty Images

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 もちろん、12月13日に予定通りクロージングが成立すれば、こうした噂話は噂のままで終わることになるし、表向き成立の見通しは立っているという話にはなっている。
 
 しかし、ベルルスコーニが「1か月から1か月半の延長」を口走った数日後、ベルルスコーニ帝国の本丸である持ち株会社『フィニンベスト』からは、クロージングの期日を1月30日から2月15日までのどこかに再設定することを受け入れる代わりに、その遅延保証金として8000万~1億ユーロ(約96~120億円)を支払うという合意が成立間近という情報もリークされてきた。
 
 中国資本との間で合意したミランの評価額は、およそ2億ユーロ(約240億円)の負債も含めて7億2000万ユーロ(約864億円)。ベルルスコーニには最終的に5億2000万ユーロ(約624億円)が支払われることになるわけだが、8月末に経営権売却で合意した時点ですでに、一種の手付金として1億ユーロが支払われている。
 
 それに今回の遅延保証金を加えれば、1億8000万から2億ユーロという大金(予定された売却収入の40%弱相当)が、ミランを手放さないまま懐に入るという勘定だ。しかも、もし延長したクロージング期日を中国資本が守れず、本当に売却話が破談になったとしても、この2億ユーロは返却する必要のない金である。
 
 そこでどうしても頭に浮かんでしまうのが、先週お伝えした「ミランの売却はベルルスコーニが国外に溜め込んだ隠し金を還流させるための隠れ蓑」という水面下の噂。ここで仮に、あくまで仮に、それが本当の話だという設定で考えてみよう。
 
成立間際のミラン経営権売却について渦巻く疑惑と憶測……全てはベルルスコーニの陰謀?
 
 ベルルスコーニにとって、5億2000万ユーロもらってミランを永久に手放すのと、2億ユーロもらってミランが手元に残り、30年来の片腕アドリア―ノ・ガッリアーニ副会長と共にイタリア人プロジェクトという新しい「オモチャ」まで手に入るのと、はたしてどちらがより「美味しい」話だろうか?
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
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