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「名古屋はクラブとして良い方向に変わるべき時。その手助けになりたい」佐藤寿人 移籍会見&囲み取材全文

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年12月02日

12年間、常に一緒に戦ってくれた最高の「12番目の選手」たちに感謝したい。

――広島から名古屋に移籍するなかで、どういうことを名古屋の選手たちに伝えたいですか?
 
 広島での成果は過去のこと。また一から結果を出さないと(名古屋の人々は)認めてくれない。自分にとっても、両クラブにとっても、この移籍が成功だったと言ってもらえるように、険しい道のりにはなるけれど、良い準備をしたいです。そして、多くの人たちにいい結果をお見せしたい。
 
 ただ、まだ今シーズンは終わっていないので、天皇杯でコウジのためにも一緒に闘い、4つ目の星をつけたいと思っています。
 
――今までどおりのプレースタイルで戦いますか?
 
 広島で218点を決めてきましたが、その一つひとつのゴールで評価していただいたと思っているので、名古屋でもゴールを決めていきたい。ストライカーは孤独な仕事ですが、ゴールでチームを引っ張るのが自分の生きがいなので、最大限のチャレンジをしていきたいと思っています。
 
――サンフレッチェサポーターへのメッセージをお願いします。
 
 2005年、それまでJ1で11得点しかとっていない、将来どうなるか分からない選手を温かく迎えてくれて、背中を押してくれた。そのおかげで、たくさんのゴールを決めることができました。また、3度のリーグ優勝をともに分かち合えたことは、僕のサッカー人生において本当に素晴らしい時間でした。
 
 たくさんの方々から「来年も一緒に戦おう」という熱い想いを送っていただいたにも関わらず、こういう決断に至ってしまったことは、本当に心苦しい。ただ、これからも、広島のサポーターに自分がゴールを決める姿を見ていただきたいと思っています。そのために努力を続け、挑戦したい。難しい道だとは思いますが、これからも成長できるところを結果によって証明したい。
 
 来季以降はともに戦えませんが、引き続きプロサッカー選手としての佐藤寿人を応援していただけるとありがたいです。そしてそれ以上に熱い声援で、広島を支えていってほしいです。また、今若手には伸び悩み、もがいている選手がいると思います。彼らを支え、時には厳しく叱咤激励していただき、このクラブがもっと素晴らくなっていくよう、全力でのサポートをお願いしたいと思います。
 
――移籍を伝えた時の子どもたちの反応は?
 
 息子たちは「この親父、矛盾しているな」と思ったかもしれません。今年は苦しいシーズンでしたし、なかなか試合で活躍して帰れることができなくて、子どもたちも僕に気を使ってくれていたし、子どもながらにも「あーだこーだ」と言っている姿をみると、自分がしっかりとしたプレーを見せて出場機会を得られていればなと思っていました。
 
 プロサッカー選手は華やかな仕事に映りますが、チームに30人いたとしても、その30人すべてが幸せにはなれないものです。試合に出ている人もそうでない人も、様々なストレスや葛藤と戦って、チームの目標に向けてともに向かっている。そういう難しさを子どもたちに伝えることで、何かを感じてもらおうと思っていました。そういう話を息子たちにしたこともあります。
 
 僕はこのクラブが好きだから、現役が終わるまでもがくという話を息子にしたんですが、この決断をしたので、きっと矛盾していると思っているでしょう。それでもグラウンドに立ちたいという気持ちで決断したことを、子どもたちがどの程度理解しているか分からないが、葛藤しているのは少しわかってくれたかなと思っています。
 
 子どもたちにとってサンフレッチェは、いつも身近に存在していました。常に紫のモノに囲まれていましたし、買う物も真っ先に紫を手に取っていた。そういう環境で育っていました。でも、僕が移籍を決断することで、広島でプレーする姿を見せられない。それは、正直申し訳ない。自分の力の無さに尽きる。もっとピッチの上で結果を出していれば、こうはならなかった。ただ、その現実と向き合い、受け止めて、来季は良い結果を息子たちに見せたい。ゴールを決める姿を見せていきたい。
 
――プロ18年目になりますが、5クラブ目。次の名古屋移籍もリスクはあるが挑戦に踏み切った。その原動力は?
 
 期待に応えたいという気持ちです。もちろん、不安はあります。良い結果が出せなければ「広島に残って引退すればよかった」と言われるでしょう。そう言われないためにも、名古屋のためにも、快く送り出してくれる広島のためにも、自分自身が来季、結果を出さないといけない。不安や恐怖はありますが、それがあるからこそ努力ができる。良い結果が出せるように全力で向かっていきたい。
 
――サポーターからは、たくさんの「広島残留に向けてのメッセージ」をいただいていたと聞いています。決断がゆらぐことは?
 
「一緒に戦おう」という熱いメッセージを本当にたくさん、頂きました。選手として、本当に幸せなことです。自分が試合に出られないことを、サポーターも悔しさを感じてくれていることが、とても伝わってきました。だからこそ、僕は常に気持ちが揺らいでいました。サポーターがいてくれたから、いつもファイティングボーズをとることができたと感じているので、そういう素晴らしいサポーターの気持ちに応えられない。申し訳なさと哀しさがともにあります。
 
 自分は今年の春先に怪我をして、そこからなかなか結果を残せなかった。練習から良いプレーを見せて、監督に「使いたい」と思わせられなかった。それができなかったのは、僕の力のなさ。それでも、多くのサポーターが、僕がピッチに入ることを求めてくれたのを実感しました。その期待に応えられない悔しさも、新しいチャレンジにつながった部分があります。
 
 多くのサポーターは常に、僕の背中を押してくれました。「広島に残ってくれ」「ピッチでやれる」というメッセージは、本当に励みになりました。12年間、常に一緒に戦ってくれた最高の「12番目の選手」たちには、感謝したいと思います。
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