ユーベの欧州制覇は前途多難…戦術面の試行錯誤がメンタル面にも影響?

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2016年11月06日

アッレグリ監督の発言は昨シーズンも聞いたが…。

84分に失点してドロー。勝ち切れなかったリヨン戦のような状態では、ビッグイヤーという目標を達成するのは難しい。(C)Getty Images

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 それは、もうひとつ指摘されているメンタル的な側面についても言えること。マンチェスター・Uとユーベで計4度のチャンピオンズ・リーグ決勝を経験してきたベテランのエブラは、リヨン戦後に自らこう語っている。
 
「最後の20分にパーソナリティーを失ってしまったのは反省すべき。疲労を言い訳にすることもできるが、実際は試合に勝つためのパーソナリティーと自信が足りなかった。最後はいつ失点してもおかしくなかった」
 
 一方、アッレグリ監督のコメントは次の通り。
 
「後半はもっとボールをキープしてカウンターを避けるべきだった。リードした後はもちろん、同点にされた後はなおさら、一切リスクを冒すべきではない。にもかかわらず2度か3度、危険な状況を作らせてしまい、すべてが台無しになるところだった。敵陣でボールを失ってカウンターを食らうのは愚の骨頂だ。相手がプレスに来ないのならば、ボールをキープしていればいい。無理に攻めてボールを失う必要はまったくない」
 
 両者のコメントに共通しているのは、状況に応じて正しい戦い方を選んで冷静に試合をコントロールする落ち着きと自信、一時的な劣勢にも動じないパーソナリティーが不足していたという認識。戦術面で試行錯誤が続いてチームの完成度が上がらないことが、メンタル面でもチームの振る舞いを規制している部分があるのかもしれない。
 
 アッレグリ監督はリヨン戦の翌日、自らのツイッターアカウントで「11月に時速100kmで突っ走ったからといって、タイトルが勝ち取れるわけではない。まずは勝ち上がって先のことはそれから考えればいい」と呟いている。
 
 昨シーズン、セビージャに負けてグループ2位抜けとなった時にも、似たようなコメントを聞いた憶えがあるが……。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
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