表情にはこれまでになかった余裕と自信が浮かんでいる。
チーム環境の面でも、今シーズンはウォルコットに追い風が吹いている。夏のEURO2016で決勝まで戦ったフランス代表のオリビエ・ジルーが出遅れ、その関係でこれまでウイング起用が多かったA・サンチェスが1トップに定着。このチリ代表FWは後方に下がったりサイドに開いたりと、積極的に動き回るため、中央にスペースが生まれやすくなる。
その際にはウォルコットが内側へと絞り、一方でサンチェスがセカンドトップ的な動きを見せる。加えて、右サイドの空いたスペースには攻撃的な俊足SBのベジェリンが駆け上がり、アーセナル得意の波状攻撃を仕掛けるというシステムが確立されている。
ウォルコットはこの新たな攻撃メカニズムの中で、弱点だった無謀なドリブルやシュートといった独善的なプレーが減少。代わりに周囲を信頼して簡単にボールを捌きながら、自分はクロスを上げたり、タイミングよくゴール前に駆け上がったりと、フィニッシュに絡むシーンが極端に増した。本人のいう「プレーに対する姿勢の違い」は、こういった面でも如実に表われている。
もちろん、これまで調子の波が激しく、ことごとく期待を裏切ってきたウォルコットだけに、現在の好調ぶりには「一過性だろう」、「シーズン最後まで続くのか?」という懐疑的な見方も少なくない。
しかしながら、現在のウォルコットの表情からは、これまでにはなかった余裕と自信が浮かんでいる。チームが好調のため、それに乗せられるという側面もあるだろう。
アーセナルが最後にプレミアリーグのタイトルを獲ったのは、03-04シーズンのこと。しかし、いまだに童顔の“元ワンダーボーイ”が正真正銘の開花を遂げれば、北ロンドンの名門は13年ぶりの覇権奪還にグッと近づくはずだ。
文:松澤浩三
その際にはウォルコットが内側へと絞り、一方でサンチェスがセカンドトップ的な動きを見せる。加えて、右サイドの空いたスペースには攻撃的な俊足SBのベジェリンが駆け上がり、アーセナル得意の波状攻撃を仕掛けるというシステムが確立されている。
ウォルコットはこの新たな攻撃メカニズムの中で、弱点だった無謀なドリブルやシュートといった独善的なプレーが減少。代わりに周囲を信頼して簡単にボールを捌きながら、自分はクロスを上げたり、タイミングよくゴール前に駆け上がったりと、フィニッシュに絡むシーンが極端に増した。本人のいう「プレーに対する姿勢の違い」は、こういった面でも如実に表われている。
もちろん、これまで調子の波が激しく、ことごとく期待を裏切ってきたウォルコットだけに、現在の好調ぶりには「一過性だろう」、「シーズン最後まで続くのか?」という懐疑的な見方も少なくない。
しかしながら、現在のウォルコットの表情からは、これまでにはなかった余裕と自信が浮かんでいる。チームが好調のため、それに乗せられるという側面もあるだろう。
アーセナルが最後にプレミアリーグのタイトルを獲ったのは、03-04シーズンのこと。しかし、いまだに童顔の“元ワンダーボーイ”が正真正銘の開花を遂げれば、北ロンドンの名門は13年ぶりの覇権奪還にグッと近づくはずだ。
文:松澤浩三