サネッティらクラブ幹部はウルトラスを支持…。
同じ頃、スタジアム内のプレスルームでは、クラブを代表する形でハビエル・サネッティ副会長がTVインタビューに応え、はっきりとゴール裏の側に立つようなコメントを口にしていた。
「何らかの処分は避けられないと思う。サポーターは我々にとって最も重要な存在であり、リスペクトしなければならない。SNSや本に何を書いても自由だが、インテルという偉大なクラブのイメージを損なうことはあってはならない」
キャプテンが自らのゴール裏からブーイングや罵声を浴び、クラブもその状況を容認するという異様な状況は、それから間もなく始まった試合の内容にも影響を及ぼさないわけにはいかなかった。26分には、当のイカルディがPKをゴールポスト右に外してしまうという失態を演じる。
しかし、サン・シーロを埋めたインテリスタのすべてが、イカルディに対して敵意や憎悪を抱いていたわけでは決してない。実際、PKを外したその直後、クルヴァ・ノルドから待ちかまえたようにブーイングの口笛が降り注いだ一方で、スタジアムの他のセクションからは、イカルディを励ます大きな拍手が湧き上がった。
この事実が示しているのは、イカルディと対立しているのは、自伝の中で槍玉に挙げられたゴール裏のウルトラスだけであり、それ以外の一般的なインテリスタの大多数はイカルディに特別な敵意を持っているわけではないということ。「イカルディ対ウルトラス」という図式は成り立っても、それが直接「イカルディ対サポーター」、「イカルディ対インテリスタ」を意味してはいない点には、注意する必要がある。キャプテンマークの剥奪も、要求しているのはゴール裏のウルトラスであって、それがインテル・サポーターの総意であるとはまったく限らないということだ。
しかし、試合後にマスコミの取材に応じたもうひとりのクラブ幹部、スポーツディレクターのピエロ・アウジリオのコメントも、イカルディを擁護する立場をはっきりと打ち出したものとは言えなかった。
「23歳で自伝を書く必要があるという事態は想定していなかった。そこに書かれたことについて言えば、過去の出来事を蒸し返しただけでなく、そこにおそらく事実とは違う脚色を付け加えたとしたら、それは馬鹿げた話だ。とはいえ、今日スタジアムに作り出された雰囲気がチームの助けにならなかったことは確かだ。いま大事なのは、何が起こったのかを把握することだ。クラブとしてどういう立場を取るかはそれからのことだ」
混乱はスタジアムだけでは収まらなかった。試合後、ウルトラスの一部がスタジアムからそう遠くないサン・シーロ競馬場裏にあるイカルディの自宅まで出向くと、マンションの建物と道路を隔てた競馬場の外壁に、皮肉の利いた大きな横断幕を張り出したのだ。
「俺たちはここにいる。お前の友達たちがアルゼンチンから着いた時にはちゃんと教えてくれるか? それともまた卑怯な手を使うのか?」
サポーター向けのニュースサイト『FcInterNews.it』では、「イカルディと家族を乗せた車がスタジアムから家に戻ってきた時に、40人ほどのウルトラスが車を囲み、マンションの警備員が拳銃を見せて脅したことで事無きを得た」というニュースが、同じマンションに住む元プロサッカー選手(現在は地元TV局のサッカー討論番組コメンテーター)の証言として報じられた。
しかし、イカルディの妻で代理人/マネジャーも務めるワンダ・ナラは、別のニュースサイト『FcInter1908.it』に「帰りには何も起こらなかった。何の問題もなく家に帰った」とコメントしており、横断幕の件は事実だとしても、ウルトラスによる襲撃の真偽は明らかではない。翌日になって、警察がマンションの監視カメラの映像を押収しており、その分析結果が出れば事実が明らかになるはずだ。
「何らかの処分は避けられないと思う。サポーターは我々にとって最も重要な存在であり、リスペクトしなければならない。SNSや本に何を書いても自由だが、インテルという偉大なクラブのイメージを損なうことはあってはならない」
キャプテンが自らのゴール裏からブーイングや罵声を浴び、クラブもその状況を容認するという異様な状況は、それから間もなく始まった試合の内容にも影響を及ぼさないわけにはいかなかった。26分には、当のイカルディがPKをゴールポスト右に外してしまうという失態を演じる。
しかし、サン・シーロを埋めたインテリスタのすべてが、イカルディに対して敵意や憎悪を抱いていたわけでは決してない。実際、PKを外したその直後、クルヴァ・ノルドから待ちかまえたようにブーイングの口笛が降り注いだ一方で、スタジアムの他のセクションからは、イカルディを励ます大きな拍手が湧き上がった。
この事実が示しているのは、イカルディと対立しているのは、自伝の中で槍玉に挙げられたゴール裏のウルトラスだけであり、それ以外の一般的なインテリスタの大多数はイカルディに特別な敵意を持っているわけではないということ。「イカルディ対ウルトラス」という図式は成り立っても、それが直接「イカルディ対サポーター」、「イカルディ対インテリスタ」を意味してはいない点には、注意する必要がある。キャプテンマークの剥奪も、要求しているのはゴール裏のウルトラスであって、それがインテル・サポーターの総意であるとはまったく限らないということだ。
しかし、試合後にマスコミの取材に応じたもうひとりのクラブ幹部、スポーツディレクターのピエロ・アウジリオのコメントも、イカルディを擁護する立場をはっきりと打ち出したものとは言えなかった。
「23歳で自伝を書く必要があるという事態は想定していなかった。そこに書かれたことについて言えば、過去の出来事を蒸し返しただけでなく、そこにおそらく事実とは違う脚色を付け加えたとしたら、それは馬鹿げた話だ。とはいえ、今日スタジアムに作り出された雰囲気がチームの助けにならなかったことは確かだ。いま大事なのは、何が起こったのかを把握することだ。クラブとしてどういう立場を取るかはそれからのことだ」
混乱はスタジアムだけでは収まらなかった。試合後、ウルトラスの一部がスタジアムからそう遠くないサン・シーロ競馬場裏にあるイカルディの自宅まで出向くと、マンションの建物と道路を隔てた競馬場の外壁に、皮肉の利いた大きな横断幕を張り出したのだ。
「俺たちはここにいる。お前の友達たちがアルゼンチンから着いた時にはちゃんと教えてくれるか? それともまた卑怯な手を使うのか?」
サポーター向けのニュースサイト『FcInterNews.it』では、「イカルディと家族を乗せた車がスタジアムから家に戻ってきた時に、40人ほどのウルトラスが車を囲み、マンションの警備員が拳銃を見せて脅したことで事無きを得た」というニュースが、同じマンションに住む元プロサッカー選手(現在は地元TV局のサッカー討論番組コメンテーター)の証言として報じられた。
しかし、イカルディの妻で代理人/マネジャーも務めるワンダ・ナラは、別のニュースサイト『FcInter1908.it』に「帰りには何も起こらなかった。何の問題もなく家に帰った」とコメントしており、横断幕の件は事実だとしても、ウルトラスによる襲撃の真偽は明らかではない。翌日になって、警察がマンションの監視カメラの映像を押収しており、その分析結果が出れば事実が明らかになるはずだ。