昨季終盤、「上田綺世2.0」が誕生する兆しがあった。今季は怪我に悩まされる時期が長かったが、３月に入るとファン・ペルシ監督が「上田はストライカーとして必要なものをすべて備えている」と公の場で言うほどの存在になった。すっかりフェイエノールトのストライカーらしくなった上田にとって、なにか手応えを掴んだきっかけはあるのだろうか。

「少しずつ少しずつ形になってきた。その積み重ねですよね。特にこの試合というのはないけれど、やっぱり点を取った試合が成功体験になりました。それは僕に限らずフォワードだったらみんなにとってあるもの。でも、点を取ること以上に求められていることが山ほどあって、それを一つずつ本当に地道に一つずつクリアしていって、今ようやく形になってきた。

　求められているクオリティに自分が応えられるようになってきて、そこに上乗せしてゴールだったり、自分のプレースタイルが少しずつ乗っかってきました」

　ズウォーレ戦の後半で見せた圧巻のポストプレーの連続はフェイエノールトから求められていたこと。そして前半の先制ゴールで披露した得意の裏抜けとクオリティの高いシュートは“自分のプレー”。これぞ上田の言う「チームから求められていることと、自分がやりたいプレーの合致」なのだろう。

取材・文●中田 徹
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