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ミラン番記者の現地発・本田圭佑「わざと6位に入らないようにしている? 邪魔ばかりするオーナー、プレーも姿勢も二流の選手たち……全てが微妙で不確定なミラン」

カテゴリ:連載・コラム

マルコ・パソット

2016年05月10日

守備で奮闘も、誰も動かない状況で途方に暮れる攻撃時の本田。

組織のなかで活きる本田だけに、周囲が動かないのではどうしようもない。守備で奮闘して味方を鼓舞するも……まさに、笛吹けども踊らず。この状況でも、彼はミランの背番号10に愛着を感じ続けるだろうか。 (C) Alberto LINGRIA

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 ピッチでも、混乱は続いている。
 
 ベルルスコーニが望むようなポセッションサッカーも、シュートを放てない限りは全く無意味だ。
 
 この連載でも、もう何度言ったか分からないが、オーナーと(と監督のクリスティアン・ブロッキ)が大好きな4-3-1-2は、このチームには合わない。
 
 それを示す最も顕著な例が、34節のカルピ戦だ。ミランはこの試合で76.9パーセントのボールポゼッションを記録。この数字は、今シーズンのセリエAの記録にもなったが、試合の結果はスコアレスドローだった。
 
 今週のボローニャ戦も、ほぼそれと同じ。ボールポゼッションでは相変わらず61.9パーセントと相手を上回っていたが、80分ものあいだ10人だったボローニャに、ミランはPKでしかゴールを奪えなかった。
 
 とにかく、この状況から脱却するのは難しい。今や全ての選手を巻き込み、本田圭佑とて、その例外ではない。
 
 彼は彼なりに自分のやり方で頑張ってはいるが、もっとやってやろうとか、試合の流れを変えてやろうといった、気概のないチームで動くのは大変なことだろう。
 
 このミランは、二流のチームだ。26人の二流の選手、特に頭のなかが二流の選手から出来上がっている。だから、ボローニャ戦で最も良い守備を見せていたのが本田だったと聞いても、もう驚かない。
 
 彼は自陣で3、4回、貴重な守備を果たし、チームが深刻な状況に陥るのを回避した。もちろんモダンサッカーでは、攻撃の選手にも守備は望まれるが……。
 
 しかし問題は、本田がボールを取り戻し、頭を上げた時、どうしたらいいのか分からないという状態にあることだ。というのも、チームメイトはボールポッセッションばかり気にしており、誰も動かない。
 
 ミランが本田に契約延長を持ちかけているというニュースがここ数日、紙面を賑わせている。確かにガッリアーニは、本田をこのままミランに留めたいと思っており、本田の代理人とは少し前から何度も話し合いを重ねている。
 
 しかし、何かを決めるには、今のミランにはあまりにも不確かな要素が多い。話がまとまるのはもう少し先、来シーズンの展望ががもう少し見えてからになりそうだ。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
 
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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