勝っても負けても喧々諤々が繰り広げられるに違いない。
これを受けてベンゼマは、「僕にとっても、一貫して支援してくれた全ての人々にとっても残念なことだが、自国開催のEUROに僕は招集されないことが決まった」と、ツイッターで無念の報告をした。
一方のFFFは、「司法面ではベンゼマ招集に何の障害もなくなった」とベンゼマ弁護士団の攻撃を牽制しつつ、「選手たちが団結性、模範性、グループ保護の方向で大仕事をするキャパシティーを重視した」と発表。ル・グラエット会長は「決定的な要因となったのは、(3月の)キャンプ中のチームの様子だった。とても強い調和があったし、ピッチ上でもそれは発揮された。そのスピリットを壊すリスクを冒すわけにはいかなかった」と語っている。
はたして、この決断は吉と出るのか、凶と出るのか。その答はEURO本大会で出ることになる。
さて、ベンゼマを欠くレ・ブルーのFW陣は、どんな構成になるのか。23枠が予想通り8人のDFと6人のFWになるならアタッカー陣は、グリエーズマン、マルシアル、オリビエ・ジルー(アーセナル)、ジニャク、コマン、パイエという構成が濃厚と見られる。
しかし、23人枠リストが7人のDFと7人のFWに変更されれば、アテム・ベン・アルファ(ニース)、ナビル・フェキル(リヨン)、ヴァルビュエナ、そしてフランク・リベリ(バイエルン)らが、残り1席を巡って競うことになりそうだ。
パフォーマンス面だけで考えれば、絶好調のベン・アルファが4月中旬時点で一歩リード中。ここにきて引退表明の撤回に色気を見せているリベリは復帰要望がやや遅かった印象もあるが、他の3人と同じくチャンスはゼロではない。
誰がレギュラーを張るかも、まだ不透明な部分が多い。現時点で言えば、ベンゼマに代わってCFのレギュラーを張りそうなのがジルー。しかし、このままアーセナルでバックアッパーに甘んじるようなら、グリエーズマンをアトレティコと同じく最前線で起用する策もありうるし、そのグリエーズマン以上にゴール量産中のジニャクをエースとする手もある。いずれにせよレ・ブルーは、ベンゼマ抜きの最適布陣を見出す必要がある。
前記のデュリュック記者は、今回の騒動決着をこう評している。
「誰もが納得するような良い解決策は存在しなかった。そこでデシャンとル・グラエットは、最も悪くない策を選択した。親近感や自己利益よりも、責任というものを前に置く明快な選択をしたのだ」
しかし、こう指摘するのも忘れなかった。
「ベンゼマ抜きならフランスが団結すると主張するのは嘘になるし、無自覚というものだ。世論調査が示す通り、彼が出場すれば底深い分裂を引き起こしただろうが、ブラック・ブラン・ブール(黒・白・アラブの意で、98年ワールドカップを制した多民族チームのフランス代表を表わす)の大きな成功から18年を経たいま、彼の不出場もまた同じく分裂に繋がるだろう」
フランス代表はいつの時代も波乱万丈だ。エメ・ジャッケはエリック・カントナを切って世界の頂点に立ち(98年ワールドカップ)、レイモン・ドメネクはティエリ・アンリを切れずに地獄に墜落した(10年ワールドカップ)。さてデシャンは……?
今夏のEURO2016では、勝っても負けても喧々諤々が繰り広げられるに違いない、「レ・ブルー劇場」に注目していただきたい。
文:結城麻里
一方のFFFは、「司法面ではベンゼマ招集に何の障害もなくなった」とベンゼマ弁護士団の攻撃を牽制しつつ、「選手たちが団結性、模範性、グループ保護の方向で大仕事をするキャパシティーを重視した」と発表。ル・グラエット会長は「決定的な要因となったのは、(3月の)キャンプ中のチームの様子だった。とても強い調和があったし、ピッチ上でもそれは発揮された。そのスピリットを壊すリスクを冒すわけにはいかなかった」と語っている。
はたして、この決断は吉と出るのか、凶と出るのか。その答はEURO本大会で出ることになる。
さて、ベンゼマを欠くレ・ブルーのFW陣は、どんな構成になるのか。23枠が予想通り8人のDFと6人のFWになるならアタッカー陣は、グリエーズマン、マルシアル、オリビエ・ジルー(アーセナル)、ジニャク、コマン、パイエという構成が濃厚と見られる。
しかし、23人枠リストが7人のDFと7人のFWに変更されれば、アテム・ベン・アルファ(ニース)、ナビル・フェキル(リヨン)、ヴァルビュエナ、そしてフランク・リベリ(バイエルン)らが、残り1席を巡って競うことになりそうだ。
パフォーマンス面だけで考えれば、絶好調のベン・アルファが4月中旬時点で一歩リード中。ここにきて引退表明の撤回に色気を見せているリベリは復帰要望がやや遅かった印象もあるが、他の3人と同じくチャンスはゼロではない。
誰がレギュラーを張るかも、まだ不透明な部分が多い。現時点で言えば、ベンゼマに代わってCFのレギュラーを張りそうなのがジルー。しかし、このままアーセナルでバックアッパーに甘んじるようなら、グリエーズマンをアトレティコと同じく最前線で起用する策もありうるし、そのグリエーズマン以上にゴール量産中のジニャクをエースとする手もある。いずれにせよレ・ブルーは、ベンゼマ抜きの最適布陣を見出す必要がある。
前記のデュリュック記者は、今回の騒動決着をこう評している。
「誰もが納得するような良い解決策は存在しなかった。そこでデシャンとル・グラエットは、最も悪くない策を選択した。親近感や自己利益よりも、責任というものを前に置く明快な選択をしたのだ」
しかし、こう指摘するのも忘れなかった。
「ベンゼマ抜きならフランスが団結すると主張するのは嘘になるし、無自覚というものだ。世論調査が示す通り、彼が出場すれば底深い分裂を引き起こしただろうが、ブラック・ブラン・ブール(黒・白・アラブの意で、98年ワールドカップを制した多民族チームのフランス代表を表わす)の大きな成功から18年を経たいま、彼の不出場もまた同じく分裂に繋がるだろう」
フランス代表はいつの時代も波乱万丈だ。エメ・ジャッケはエリック・カントナを切って世界の頂点に立ち(98年ワールドカップ)、レイモン・ドメネクはティエリ・アンリを切れずに地獄に墜落した(10年ワールドカップ)。さてデシャンは……?
今夏のEURO2016では、勝っても負けても喧々諤々が繰り広げられるに違いない、「レ・ブルー劇場」に注目していただきたい。
文:結城麻里