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【タマジュンの欧州視察】香川の“日常”に見る「プロセス」の優位性と、本田マインドへの期待感

カテゴリ:連載・コラム

玉乃 淳

2016年02月15日

日本は世界有数の「プロセス」を手に入れる可能性がある。

ジェノア戦で“今季初得点”を決め、チームを勝利に導いた本田。「個」の重要性にこだわる日本のエースを玉乃氏もいつか取材したいと言う。(C)Getty Images

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「日本サッカーの現在地」というテーマを持って、日本人選手を中心にイングランド、ドイツと取材の旅をしたわけですが、次第にその現在地が見えてきました。
 
 辛酸をなめた2014年のブラジル・ワールドカップでも得点を求められた香川選手でしたが、所属チームにおいての役割は明らかに違いがありました。ゴールよりもむしろその「プロセス」の創造者でした。
 
 岡崎選手にしても、香川選手と同列だと考えています。彼の現在のプレースタイルを見ていると、最前線に張るストライカーというより、1・5列目でワントップの選手を活かす役割がベストだと思います。その意味で、彼もまた「プロセス」の創造者だと見ています。
 
 つまり、欧州の最高峰でプレーする選手を擁している日本は、世界有数の「プロセス」を手に入れる可能性に満ち溢れているのです。
 
 それと同時に、1点も取れずに世界の舞台から去る可能性もあります。自身が絶対的なストライカーであった日本代表のハリルホジッチ監督も欧州組の視察に訪れ、誰にどうやって得点させるかに頭を悩ませていることでしょう。このことは、これまでの選手起用を見ても容易に想像できます。
 
 育成世代では、バルセロナ発信のポゼッションサッカーを勘違いしないようにしなければならないでしょう。「個」の創出から逃げるようにポゼッションを唱え、一見華麗なパスサッカーを信望し、球離れの早さと支配率を要求することに傾倒している現状は、世界大会でなかなか結果を出していない事実と無縁ではない気がしています。
 
 この欧州視察が僕に再認識させてくれた「ゴール」というシンプルな命題を忘れてはならないこと、「個」の向上の積み重ねがチームの勝利に繋がることを、グアルディオラも教えてくれました。
 
 香川選手の「日常」を観戦した翌日、デュッセルドルフのカフェでプレミアリーグ首位攻防戦をTV観戦し、岡崎選手の惜敗に落胆していると、あるニュースが……。
 
「ミラン 2-1 ジェノア」
 
 決勝点を奪い、勝利に導いた嬉しいニュースというより、今季「初得点」という意外な事実に気付かされました。
 
 得点するということは、どれほど難しいことなのか――。
 
「個」の重要性を説き、得点こそが自らの評価を上げる唯一の手段と言い続ける“あの選手”を取材してみたい。ワールドカップの檜舞台で3得点している経験にいつの日か触れてみたい。
 
 まだまだ終わらない欧州の旅。日本の現在地を知る旅は始まったばかりです。
 
著者:玉乃 淳(たまの・じゅん)
1984年6月19日生まれ、東京都出身。ヴェルディの下部組織出身で、ユース時代にはスペインのアトレティコ・マドリーに所属し、フェルナンド・トーレスとともにプレー。帰国後は東京Vでプロデビューを飾り、徳島、横浜FC、草津でも活躍。09年の引退後は様々なジャンルで力を発揮し、充実のセカンドキャリアを送る。Twitterのアカウントは@JUNTAMANO1
 
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