――解説へのこだわりは何か持っていますか？

「私は日本語非ネイティブだけじゃなくて、他の解説者と違って、プロとしてのプレー経験は何もないし、指導者でもないし、皆さんの持っている目線は持っていません。私が日本のテレビ局、配信会社、視聴者、ファンの皆さんに提供できるのは、現地情報、現地の感覚、そういった知識や情報面だと思っているので、情報収集に時間をかけています。

　今だったら、音声媒体を多めに取り入れているので、ウォーキングしながら、イギリスのメディアやポッドキャスト、インタビューを聞いたり、それから直接電話したり、人と話したりするよう心掛けていますね。

　それから、全チームを平等に扱うこと。現地ではビッグクラブ、今で言うとビッグ６のファンの割合が１番多いですし、日本でも圧倒的にビッグ６のファンが、他の14クラブよりも多いと分かっているんですけども、サッカー、スポーツは相手が当然いるわけですから。

　例えばビッグクラブvsそうじゃないクラブだったら、ビッグクラブの話ばっかりするんじゃなくて、むしろそうじゃないほうが中継で日本語実況、解説がつく対象になることが少くて、そんなに知られていないかもしれないので、そのチームのことをたっぷりと調べておいて、紹介するのが大事だなと思っていますね。

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　実況、解説が中継で何のためにいるか、自分でも分かっているつもりで、最初はあまり表現できなかったんですけども、イギリスのジャーナリスト兼アナリストが１年ぐらい前にツイートして『それだ！』と思ったことがあります。そのジャーナリストは、『１人で見ている視聴者もたくさんいるだろうから、一緒に試合を楽しんでくれる仲間、そのような存在になってあげるのが大前提だ』って言っていて、それだなと思ったんです。

　だから情報や分析はもちろん大切ですけど、上から目線でこうなんですよと言うのではなく、視聴者の楽しみに貢献するのが１番大事。自分もネガティブな話ばっかりしていると楽しくなくなるかもしれませんし、その話をするのも大事だと思うんですけど、バランス良く楽しみ、テンション、エモーション、そして情報分析もなるべくバランス良くミックスしていくと、みんなの楽しみに貢献できるかなと思っています」

取材・構成●有園僚真（サッカーダイジェストWeb編集部）

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