しかし一方、國學院久我山はこの後、反撃の機会を掴んでいた。

　後半10分頃、東福岡は“受け身”に回っていたのだ。ボールポゼッションを高めた國學院久我山は、攻撃のキーマンである澁谷と名倉が高い位置でボールを受け始める。

　そして後半11分、名倉はゴール正面から決定的なシュートを放つ。さらに後半15分過ぎにも、ゴール前で相手DF陣に撥ね返されながら、３本連続で惜しいシュートを撃った。

　ここで１点を返せれば……、試合の流れは変わっていたかもしれなかった。

　逆に試合を決定づける東福岡の３点目が決まる。後半25分、中村の浮かした縦パスから最終ラインの背後のスペースを攻略。走り込んだCF餅山がDFに競り勝ち、冷静にループシュートをゴールに収めた。

　これで國學院久我山は一段と気落ちし、その後は、体力やフィジカル面でも上を行く東福岡が完全に凌駕。後半30分に藤川、後半35分に中村と追加点を決め、結局、計５ゴールを奪ってみせた。

　国学院久我山は完敗を認めるしかなかった。

　青森山田戦で躍動した名倉だが、「前を向かせてもらなかった……。この試合では相手のプレスが早く、ウチのサポートも遅かった」と悔やんだ。

　また、序盤に決定的なシュートを放ったがモノにできなかった右サイドアタッカーの内桶峻は、「最悪です。後悔しかない……。前半から相手のプレッシャーにビビッて、自分のミスから何度もボールを失ってしまった。想像以上に、相手のプレッシャーが強かった」と“プレスの差”を敗因のひとつに挙げた。