Jクラブからオファーも海外を視野に。最後は敗戦も『魅せるサッカー』の中心で輝く。
山本 蓮
(久御山/3年/MF)
全国に強烈なインパクトを残せるチームだった。高度なテクニックと、流れるようなパスと人の動き。バイタルエリアではスタンドから大きな歓声が上がるほど、その攻撃は単純な巧さだけでなく、リズミカルな躍動感があった。
そして、久御山の『魅せるサッカー』の中心にいたのが、背番号14のMF山本蓮だった。インターハイでは圧倒的な技術とイマジネーションで、FW和田幸之佑、MF八田陸斗らとともに、破壊力満点の攻撃を演出。初戦で桐光学園を下すと、2回戦では青森山田も撃破。プロ内定選手も抱える優勝候補を連破したことで、一気に注目を集めた。
「相手を見ながらプレーを選択しています。相手がこう来たら、自分たちはこうする。こう仕掛けたら、相手がこう対処して来たから、さらに変化を加える。ゴールを奪うためにはどうすべきかを考えながらプレーしています」
彼の信条は、決して『テクニックの品評会』にならないことだ。高い技術と豊富なイマジネーションの『見せ方』を彼はわきまえている。自己満足のプレーではなく、あくまで相手を崩すため、ゴールを奪うためのプレーを意識しているからこそ、相手の逆を巧みに突き、観衆を沸かすプレーが出来ているのだ。
インターハイ16強の成績ではなく、その濃密なプレーの内容によって注目度を高めた山本は、実際にJクラブからオファーを受けた。しかし、彼の夢は海外でプレーをすること。どの道がベストか。山本はじっくりと将来を考えようとしている。
そして迎えた選手権予選。準決勝でU-18日本代表FWの岩崎悠人を擁する京都橘と激突。この試合でも山本は周りと上手く連動して、テクニックとイマジネーションの高さを披露した。0-2で迎えた33分、中盤でボールを受けると、センターラインと平行にドリブルを仕掛けながら、20メートル先の和田に向けて浮き球のロングスルーパス。糸を引くようなパスが、GKとの1対1のシーンを生み出し、和田がダイレクトでゴールに流し込んだ。
さらに後半、左CKを得ると、正確なキックで同点ゴールをアシスト。これで勢いに乗ったチームは逆転ゴールを奪った。しかし、京都橘の反撃を受け、試合はひっくり返されてしまう。試合はそのまま終了し、3-4の敗戦。山本の高校サッカーは幕を閉じた。
全国には届かなかったものの、山本のポテンシャルの高さを十分に示した試合だった。相手の動きを見ながら、ゴールからの逆算で自らのテクニックとイマジネーションを発揮する。そんな高度な能力の持ち主は、一体どんな決断を下すのか。大学か、Jか、それとも海外か。どの選択をするにせよ、さらなる成長から目が離せない。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
(久御山/3年/MF)
全国に強烈なインパクトを残せるチームだった。高度なテクニックと、流れるようなパスと人の動き。バイタルエリアではスタンドから大きな歓声が上がるほど、その攻撃は単純な巧さだけでなく、リズミカルな躍動感があった。
そして、久御山の『魅せるサッカー』の中心にいたのが、背番号14のMF山本蓮だった。インターハイでは圧倒的な技術とイマジネーションで、FW和田幸之佑、MF八田陸斗らとともに、破壊力満点の攻撃を演出。初戦で桐光学園を下すと、2回戦では青森山田も撃破。プロ内定選手も抱える優勝候補を連破したことで、一気に注目を集めた。
「相手を見ながらプレーを選択しています。相手がこう来たら、自分たちはこうする。こう仕掛けたら、相手がこう対処して来たから、さらに変化を加える。ゴールを奪うためにはどうすべきかを考えながらプレーしています」
彼の信条は、決して『テクニックの品評会』にならないことだ。高い技術と豊富なイマジネーションの『見せ方』を彼はわきまえている。自己満足のプレーではなく、あくまで相手を崩すため、ゴールを奪うためのプレーを意識しているからこそ、相手の逆を巧みに突き、観衆を沸かすプレーが出来ているのだ。
インターハイ16強の成績ではなく、その濃密なプレーの内容によって注目度を高めた山本は、実際にJクラブからオファーを受けた。しかし、彼の夢は海外でプレーをすること。どの道がベストか。山本はじっくりと将来を考えようとしている。
そして迎えた選手権予選。準決勝でU-18日本代表FWの岩崎悠人を擁する京都橘と激突。この試合でも山本は周りと上手く連動して、テクニックとイマジネーションの高さを披露した。0-2で迎えた33分、中盤でボールを受けると、センターラインと平行にドリブルを仕掛けながら、20メートル先の和田に向けて浮き球のロングスルーパス。糸を引くようなパスが、GKとの1対1のシーンを生み出し、和田がダイレクトでゴールに流し込んだ。
さらに後半、左CKを得ると、正確なキックで同点ゴールをアシスト。これで勢いに乗ったチームは逆転ゴールを奪った。しかし、京都橘の反撃を受け、試合はひっくり返されてしまう。試合はそのまま終了し、3-4の敗戦。山本の高校サッカーは幕を閉じた。
全国には届かなかったものの、山本のポテンシャルの高さを十分に示した試合だった。相手の動きを見ながら、ゴールからの逆算で自らのテクニックとイマジネーションを発揮する。そんな高度な能力の持ち主は、一体どんな決断を下すのか。大学か、Jか、それとも海外か。どの選択をするにせよ、さらなる成長から目が離せない。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)