恐ろしいほど采配が当たったデシャン監督の手腕
さらにテコ入れしたデシャン監督の采配は興味深かった。シュートを放ったエムバペを再び中央へ戻す交代策をとったこと。おそらくクロスが増えるため、突破力とクロスができるコマンを入れたかったのだろう。後半最初の変化を加えてくれたコロ・ミュアニを左に回し、相手の4バックに4トップをぶつける格好となった。
これで修正は終わりかと思いきや、74分には、左のコロ・ミュアニとセンターフォワードのテュラムの位置を変えた。これが監督の指示だとしたら、80分のPKを得たシーンを作り出したのはデシャンとも言えるだろう。倒されたのは中央のコロ・ミュアニである。そして、同点弾となるエムバペのアシストは左のテュラムであり、メッシからボールを奪ったのは右のコマンだった。
恐ろしいほど采配が当たり延長へと繋げたフランスの意地と戦いぶりは、逆転にまでは届かなかった。
これで修正は終わりかと思いきや、74分には、左のコロ・ミュアニとセンターフォワードのテュラムの位置を変えた。これが監督の指示だとしたら、80分のPKを得たシーンを作り出したのはデシャンとも言えるだろう。倒されたのは中央のコロ・ミュアニである。そして、同点弾となるエムバペのアシストは左のテュラムであり、メッシからボールを奪ったのは右のコマンだった。
恐ろしいほど采配が当たり延長へと繋げたフランスの意地と戦いぶりは、逆転にまでは届かなかった。
延長に入ってからアルゼンチンの選手たちは、前半の戦いぶりを取り戻した。ソリッドにブロックを組みながらオタメンディとロメロの前に強い守備でボールを刈り取り、3センターのキープ力でマイボール時間を増やす。疲れているはずの彼らが、技術で落ちることはなかった印象だ。
スプリント75回を記録したアルバレスを102分まで引っ張ったが、それは彼ほど守備で奔走できる選手がベンチにいなかったからだろう。スカローニ監督は、この交代で点を取りに行く姿勢を伝えたはず。104分の決定機は、代わって入ったラウタロ・マルティネスのキープから始まり、彼のシュートのこぼれをモンティエルが狙ったシーンだった。
そして108分の勝ち越し弾も、モンティエルのパスをラウタロ・マルティネスが丁寧にメッシに落としたことでもたらした。戦術は選手の個によっても変えられるが、まさに選手の特徴に合わせて結果が現れた格好だった。
もちろん、サッカーにおける定説のようなもので失敗する場合もある。CKの守備時に交代を行ない、結果論だが定説通り、PKを与えてしまったことだ。2度目のPKをも沈めたエムバペのメンタルの強さは計り知れないが、スカローニ監督にとっては痛恨だっただろう。
PK戦によりアルゼンチンの勝利が決まったものの、ラスト2プレーでコロ・ミュアニかラウタロ・マルティネスのどちらかが得点を記録していてもおかしくなかった。最後まで最高峰のサッカーを披露した両国に賛辞を送りつつ、この試合を見届けられたことに感謝したい。収まりきらない事象が多数あったほど、濃密な120分+PK戦だった。
【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。
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そして108分の勝ち越し弾も、モンティエルのパスをラウタロ・マルティネスが丁寧にメッシに落としたことでもたらした。戦術は選手の個によっても変えられるが、まさに選手の特徴に合わせて結果が現れた格好だった。
もちろん、サッカーにおける定説のようなもので失敗する場合もある。CKの守備時に交代を行ない、結果論だが定説通り、PKを与えてしまったことだ。2度目のPKをも沈めたエムバペのメンタルの強さは計り知れないが、スカローニ監督にとっては痛恨だっただろう。
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【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。
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