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【アナリスト戦術記】なぜフランスは2点ビハインドから息を吹き返せたのか。興味深い両指揮官の采配を徹底分析【W杯決勝】

カテゴリ:連載・コラム

杉崎健

2022年12月20日

アルゼンチンは「見る守備」ではなく「奪いに行く守備」で対抗

アルゼンチンの守備が機能。メッシもプレスバックで果敢にボールを奪いに行った。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 デシャン監督が前半のうちから動いたのは、おそらく36分の2失点目を喫した直後だろう。前半の出来のなかで3点目を取られたら終わってしまうと感じたか、モロッコ戦と同じ交代を行なった。

 それはジルーを下げて、守備のウイークとなってしまうエムバペをセンターに据えること。これに加えて、明らかに出来が悪かったデンベレも下げた。交代の時間は41分だが、2失点目以降でデシャン監督がテクニカルエリアに出てきていないのを見ると、直後から動いていたのだと分かる。

 それでも状況が変わらなかったのは、アルゼンチンの守備が機能していたからだろう。特にセンターバックのロメロはリゲイン(自チームのボールロスト後に相手の攻撃を奪い返す)の数が18を数え、チーム内で2番目に多かったタグリアフィコの倍の数を計測するなど、まさしく防波堤となった。

 チーム全体でも、ボールリカバリータイムは8.22秒だったようで、これは決勝トーナメントにおける4試合の中で最短。44分には、メッシもプレスバックでボールを奪いに行くなど、見る守備ではなく奪いに行く守備で相手に自由を与えなかった。
 
 アルゼンチンは、決勝に至るまでヨーロッパ勢との対決は3回あったが、フランスは南米勢との対決はなし。影響はないはずだが、フランスにとっては、ボールに対する強度の違いがそれまでの対戦国に比べてあったのかもしれない。

 後半の立ち上がりも、状況は変わらず。48分には、またもロメロがインターセプトしてから、デ・パウルのボレーシュートがあったように、良い守備と良い攻撃の連鎖はアルゼンチンだった。

 ただ、フランスにとって変化の予兆が見えたのは50分の守備だった。代わって入ったコロ・ミュアニが人とボールに対して激しいプレスを行ない、エムバペのカウンターに繋げてCKを獲得したシーン。1つのプレーや変化で状況が劇的に変わるのはサッカーの面白さや醍醐味だ。彼のプレスの姿勢は、チームメイトに自信を与えたように思う。

 もちろん、アルゼンチンがリードを確実に守るためにハイプレスからミドルプレスに移行した影響は無視できないが、それでも明らかに後半の圧力は増した。乗じて、細かな修正を加えている。62分にテュラムとエムバペの位置を変えた。相手の重心が下がったことで、クロスは増えると読んでのものだったかもしれない。

 事実、グリーズマンやテオ・エルナンデスがクロスを上げるシーンを作り出し、この試合のファーストシュートとなったCKを獲得できた。また、70分にはエムバペ自身もこの試合の1本目のシュートも記録している。これも1つの変化による恩恵だった。
 
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