【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「ミハイロビッチ監督を簡単には切れない事情」

カテゴリ:海外日本人

マルコ・パソット

2015年10月27日

監督だけで4人分のギャラを支払うのはさすがに…。

はたしてミハイロビッチ(左)は生き延びられるか。本田(右)の状況とともに大きな注目が集まる。(C)Getty Images

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 ベルルスコーニの堪忍袋の緒は、間違いなく切れかかっている。それでも、簡単にはミハイロビッチ解任を決断できない理由がある。
 
 前々任者のセードルフと前任者のインザーギは契約期間内の解任だったため、2人の給料(前者が250万ユーロ=約3億5000万円、後者が200万ユーロ=約2億8000万円)を来年6月まで払い続けなければいけないのだ。
 
 仮にミハイロビッチを解任すれば、今夏の補強で9000万ユーロ(約126億円)を使ったうえ、選手だけでなく解任した3人の指揮官に給料を払いつつ、さらに新監督にギャラを払わなければいけない。言うまでもなく、財政的にはかなりの負担だ。
 
 ベルルスコーニがどんなに首を斬りたくても二の足を踏むのは当たり前で、ミハイロビッチにとってはミランでの数少ない幸運と言える。
 
 そのため、もし次節(10月28日のキエーボ戦)に大敗でもしてミハイロビッチが解任されたとしても、手腕はたしかだが高給取りのルチアーノ・スパレッティやファビオ・カペッロよりも、ミラン愛を隠さず低賃金でもサインしてくれそうなOBのロベルト・ドナドーニが招聘される可能性が高いだろう。
 
 もちろん、最善策はミハイロビッチが結果を出すことだ。ここ2試合で使った4-3-3はお世辞にも機能しているとは言えないが、4-3-1-2よりもサイドアタックは機能しており(システムの特性を考えれば当たり前だが)、しばらくはこのまま続けるべきだろう。
 
 本田は現状、アレッシオ・チェルチが陣取る右ウイングの二番手という扱い。過去2試合は試合終了間際に投入され、半ば“時間稼ぎの駒”のように扱われた。心中穏やかではないだろう。
 
 サッスオーロ戦では、ライバルのチェルチが15年1月のミラン入団以来では最高とも言えるパフォーマンスを見せた。ミランにとっては喜ばしいニュースだが、本田としては複雑な出来事だ。
 
 本田が先発したのは、9月22日のウディネーゼ戦が最後。すでに1か月以上前だ。その後は2試合連続でベンチを温め、そしてさらにその先は2試合連続で試合終盤の投入。苦境に立たされているのは明らかだ。
 
 とにかく今は、我慢が必要だ。トレーニングでアピールし、巡ってきたチャンスをしっかりとモノにする――。本田にはそんな忍耐が求められる。
 
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
 
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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