「将来チームを担うべき若手を育てるのも重要な仕事のひとつ」
――どのようにしてその能力を手に入れたのでしょうか?
「日々の積み重ねを通してです。私がよく言うのは、ひとりがパスミスをひとつ減らしたら、チーム全体のパスミスは10少なくなるということです。その分パスがつながって試合をより支配でき、ボールロストがもたらすリスクも減らせる。そうした積み重ねを通してチーム全体のクオリティが高まり、試合をコントロールできるようになってきたということです」
――今シーズンは試合によって、また試合の中でも複数のシステムを使い分けていますが、どのような基準で選んでいるのでしょう。
「対戦相手にもよるし、選手たちのコンディションにもよります。例えば5-4-1で中央を固めてきた甲府に対しては、ウイングをワイドな位置に開かせた4-4-2でサイドをえぐってクロスを上げる戦い方を選びました。
G大阪に対しては中央から縦の攻撃で崩したかったので、4-3-1-2で2トップの間隔を近づけそこにトップ下も絡ませることで、敵のセンターバックに勝負を仕掛ける形を作ろうとしました。河野が敵陣でボールを奪って前田とのワンツーでクロスバーを叩いた前半終わりの場面はその狙いどおりでした。後半は河野が疲れてきたこともあって、攻守のバランスを考えて4-4-2に切り替えましたが」
――システムによって起用する選手も変わってくる部分はあると思いますが、今シーズンは榎本、松田、丸山、野澤、橋本など、比較的出場機会が少なかった選手が、チャンスを与えられた時にしっかりそれに応えるケースが多いように思われます。
「彼らは将来レギュラーとしてチームを担うべき若手たちです。彼らを育てることも監督の重要な仕事のひとつです。今は彼らの前に力のあるレギュラーがいますが、その次の世代も着実に育っている。これはクラブがいい仕事をしているということでもあります」
――監督にとってチームマネジメントで最も難しいのは、出場機会が少ない選手のモチベーションを保つことだと良く言われます。
「その点では心配はありません。彼らはみんな高いモチベーションを持っています。チャンスを得た時に良い仕事をしてくれているのがその証拠ですよ」
――具体的にはどんなケアをしているのでしょう。
「特別なことはしていません。彼らはプロの世界がどういうふうに機能しているかをよくわかっていますから。私も長い間選手としてプレーし、監督も10年以上務めていますが、ルールはいつも同じです。
ピッチに立つのは11人、ベンチに7人、それ以外の選手は観客席。そして少しでもチャンスがあればその座を奪おうと虎視眈々と狙い続ける。それがプロの世界です。試合に出られないからといって2、3か月で諦めてしまっては、そこでお終いですからね。
諦めずに常にベストを尽くし、常にチャンスに備えていなければならない。そういう姿勢が選手の内面を鍛えて行くという側面もあります。与えられたチャンスを活かせるかどうかもそこで決まってくる」
「日々の積み重ねを通してです。私がよく言うのは、ひとりがパスミスをひとつ減らしたら、チーム全体のパスミスは10少なくなるということです。その分パスがつながって試合をより支配でき、ボールロストがもたらすリスクも減らせる。そうした積み重ねを通してチーム全体のクオリティが高まり、試合をコントロールできるようになってきたということです」
――今シーズンは試合によって、また試合の中でも複数のシステムを使い分けていますが、どのような基準で選んでいるのでしょう。
「対戦相手にもよるし、選手たちのコンディションにもよります。例えば5-4-1で中央を固めてきた甲府に対しては、ウイングをワイドな位置に開かせた4-4-2でサイドをえぐってクロスを上げる戦い方を選びました。
G大阪に対しては中央から縦の攻撃で崩したかったので、4-3-1-2で2トップの間隔を近づけそこにトップ下も絡ませることで、敵のセンターバックに勝負を仕掛ける形を作ろうとしました。河野が敵陣でボールを奪って前田とのワンツーでクロスバーを叩いた前半終わりの場面はその狙いどおりでした。後半は河野が疲れてきたこともあって、攻守のバランスを考えて4-4-2に切り替えましたが」
――システムによって起用する選手も変わってくる部分はあると思いますが、今シーズンは榎本、松田、丸山、野澤、橋本など、比較的出場機会が少なかった選手が、チャンスを与えられた時にしっかりそれに応えるケースが多いように思われます。
「彼らは将来レギュラーとしてチームを担うべき若手たちです。彼らを育てることも監督の重要な仕事のひとつです。今は彼らの前に力のあるレギュラーがいますが、その次の世代も着実に育っている。これはクラブがいい仕事をしているということでもあります」
――監督にとってチームマネジメントで最も難しいのは、出場機会が少ない選手のモチベーションを保つことだと良く言われます。
「その点では心配はありません。彼らはみんな高いモチベーションを持っています。チャンスを得た時に良い仕事をしてくれているのがその証拠ですよ」
――具体的にはどんなケアをしているのでしょう。
「特別なことはしていません。彼らはプロの世界がどういうふうに機能しているかをよくわかっていますから。私も長い間選手としてプレーし、監督も10年以上務めていますが、ルールはいつも同じです。
ピッチに立つのは11人、ベンチに7人、それ以外の選手は観客席。そして少しでもチャンスがあればその座を奪おうと虎視眈々と狙い続ける。それがプロの世界です。試合に出られないからといって2、3か月で諦めてしまっては、そこでお終いですからね。
諦めずに常にベストを尽くし、常にチャンスに備えていなければならない。そういう姿勢が選手の内面を鍛えて行くという側面もあります。与えられたチャンスを活かせるかどうかもそこで決まってくる」