今の日本代表の欠点は選手層
今の日本代表の欠点を挙げるとすれば、選手層にさほど厚みがない点でしょう。ワールドカップのメンバー登録は23人(26人に拡大可能性もあり)。そのうち世界基準のトップクラスの選手は13~14人ほどしかいません。言い換えると、スタメンの11人からレベルを落とさず入れ替えられるのは、2~3人程度です。
最終予選の最後のベトナム戦が、それを物語っています。この試合は、それまで出場機会の少なかった選手たちが中心となりましたが、連係、連動が不十分ななかでの戦いとなりました。それほど期待できる状況ではなかったとはいえ、それでもやはり、カタール行きを決めたオーストラリア戦のメンバーとは、差があると感じました。
もっとも、そうしたデメリットはメリットにもなり得ます。最終予選で森保監督は、1勝2敗と出遅れたにもかかわらず、同じ選手たちを信頼し、チャンスを与え続けました。その結果、選手たちは自信を掴み、いまやチームとしてかなりの完成度を誇っています。
今回のワールドカップでは、5人の交代枠が使えます。層の厚さでは間違いなくドイツとスペインが日本を上回っています。膠着状態になっても、いろんなオプションを持っている彼らのほうが優位に試合を進められるでしょう。
ワールドカップまでの残り期間で、森保監督が信頼を寄せるその13~14人以外の残りの9~10人の選手のレベルをいかにして高めていくか。私なら、出場機会の少ない欧州組の選手や、Jリーグ勢の国内組に、実戦の場を与えます。
最終予選の最後のベトナム戦が、それを物語っています。この試合は、それまで出場機会の少なかった選手たちが中心となりましたが、連係、連動が不十分ななかでの戦いとなりました。それほど期待できる状況ではなかったとはいえ、それでもやはり、カタール行きを決めたオーストラリア戦のメンバーとは、差があると感じました。
もっとも、そうしたデメリットはメリットにもなり得ます。最終予選で森保監督は、1勝2敗と出遅れたにもかかわらず、同じ選手たちを信頼し、チャンスを与え続けました。その結果、選手たちは自信を掴み、いまやチームとしてかなりの完成度を誇っています。
今回のワールドカップでは、5人の交代枠が使えます。層の厚さでは間違いなくドイツとスペインが日本を上回っています。膠着状態になっても、いろんなオプションを持っている彼らのほうが優位に試合を進められるでしょう。
ワールドカップまでの残り期間で、森保監督が信頼を寄せるその13~14人以外の残りの9~10人の選手のレベルをいかにして高めていくか。私なら、出場機会の少ない欧州組の選手や、Jリーグ勢の国内組に、実戦の場を与えます。
欧州組を呼んでベストメンバーでチーム作りをするのは、9月のインターナショナル・マッチウィークからでも十分間に合います。最終的に、大会直前の合宿でチームを完成させれば良いのです。
つまり、本大会までに日本がすべきことは、まずは主力と考えている欧州組をしっかりと休ませることです。今回のワールドカップは、欧州リーグが新シーズンになってから開催されるため、クラブを移籍する選手や、チーム内での立ち位置が変わる選手が出てくるかもしれません。そのため、主力と考えている欧州組の選手たちを夏場の代表活動には呼ばず、ヨーロッパの所属チームに専念させる。そうした配慮が必要だと考えています。
6月、7月の代表活動は、チーム全体の底上げを視野に、国内組、そしてヨーロッパで出場機会に恵まれていない選手たち中心で行ない、思い切って試してほしいと思います。
いろいろと課題なども指摘しましたが、昨今の日本サッカーは、本当に誇るべきレベルだと思います。
今後は、ファンの皆さんにも大事な役割が待っています。応援で日本代表の選手を後押し、愛されている、期待されている、彼らがそう感じられるような強い絆を築いてください。ファンに支えられているという実感は、揺るぎない自信、そしてハイパフォーマンスの源になるはずです。応援にもさまざまな形があると思いますが、本大会に向けて、みんなで日本チームを支えて行きましょう。
【著者プロフィール】
フィリップ・トルシエ/1955年3月21日、フランス生まれ。98年に日本代表監督に就任。同時にU-23、U-20代表監督も兼務し、00年のシドニー五輪でベスト8、02年の日韓ワールドカップではベスト16に導く。03、04年には今秋のワールドカップ開催地、カタール代表監督も経験した。
【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)
つまり、本大会までに日本がすべきことは、まずは主力と考えている欧州組をしっかりと休ませることです。今回のワールドカップは、欧州リーグが新シーズンになってから開催されるため、クラブを移籍する選手や、チーム内での立ち位置が変わる選手が出てくるかもしれません。そのため、主力と考えている欧州組の選手たちを夏場の代表活動には呼ばず、ヨーロッパの所属チームに専念させる。そうした配慮が必要だと考えています。
6月、7月の代表活動は、チーム全体の底上げを視野に、国内組、そしてヨーロッパで出場機会に恵まれていない選手たち中心で行ない、思い切って試してほしいと思います。
いろいろと課題なども指摘しましたが、昨今の日本サッカーは、本当に誇るべきレベルだと思います。
今後は、ファンの皆さんにも大事な役割が待っています。応援で日本代表の選手を後押し、愛されている、期待されている、彼らがそう感じられるような強い絆を築いてください。ファンに支えられているという実感は、揺るぎない自信、そしてハイパフォーマンスの源になるはずです。応援にもさまざまな形があると思いますが、本大会に向けて、みんなで日本チームを支えて行きましょう。
【著者プロフィール】
フィリップ・トルシエ/1955年3月21日、フランス生まれ。98年に日本代表監督に就任。同時にU-23、U-20代表監督も兼務し、00年のシドニー五輪でベスト8、02年の日韓ワールドカップではベスト16に導く。03、04年には今秋のワールドカップ開催地、カタール代表監督も経験した。
【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)