スカウト部長のリティが語る「開幕に挑むドイツ組12選手への期待」

カテゴリ:ワールド

田邊雅之

2015年08月14日

新しいモデルケースを作った長澤が後進に与える影響とは?

ケルンでチームメイトの大迫(左)と長澤(右)。ともに昨季は小さくない手応えを掴んでいるだけに、新シーズンはさらなる飛躍を遂げる可能性は十分にある。(C)Getty Images

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 逆にケルンの大迫には、良い意味で驚かされた。ゴール数こそ3点と少なかったが、明らかに視野が広くなり、プレーのアイデアも増えている。しかも守備面での貢献度も高かった。
 
 その成長ぶりは、日本代表でのプレーからも見て取ることができたと思う。チームはFWの新戦力を補強したが、新シーズンも4-4-2が採用されれば、レギュラーとして生き残る可能性は十分にある。今のままサッカーに打ち込めばいい。大迫は着実に、チームとブンデスリーガに順応してきている。
 
 大迫と同世代であるヘルタ・ベルリンの原口には、なにより結果が求められる。彼は元々、リスクを冒してチャンスを狙っていこうとするタイプだ。しかも足が速いだけでなく、ボールをキープできる。ポテンシャルが高いのは言うまでもなく、プレースタイルも私の好みだ。
 
 だからこそ、1得点・2アシストという結果は物足りない。具体的に言うならば、左サイドからカットインして、シュートを狙うプレーに磨きをかけなければならないし、シュートが打てなければ瞬時にラストパスを出せるようになる必要がある。
 
 山田が所属するカールスルーエは、残念ながら1部に昇格できなかった。しかし本人にとっては、充実したシーズンになったのではないだろうか。2部の過酷な環境のなかで、33試合に出場して6得点・8アシストという成績は素直に評価できる。
 
 チームの主軸となり、テクニックの高さやパスセンスも証明済みだが、今後は体重を増やして、より当たり負けしない身体を作っていくことが望ましいだろう。
 
 最後は長澤について。私はケルンのスタッフと今でも良い関係を築いているが(リティは現役時代にケルンでプレー)、クラブ側の長澤に対する評価の高さには驚いた。昨シーズンの前半戦は、怪我やインフルエンザのせいで不遇をかこった。また彼のような攻撃的な選手にとって、4-4-2は守備の負担が大きい。
 
 にもかかわらず、後半戦では出場機会を増やすことに成功している。新シーズン、良いスタートを切り、ラストパスやシュートの精度をさらに上げていけば、チーム内での評価と存在感は一層増していくだろう。
 
 長澤は別の大切な役割も担っている。後進に与える影響だ。私は彼を高校時代からチェックしていたが、日本の大学からブンデスリーガのクラブへ移籍する新しいモデルケースとなった。
 
 彼の姿を見て、勇気づけられた日本の選手は少なくないはずだ。そして彼がケルンで成功を収めれば、「大学経由ドイツ行き」の移籍が今後増えていくかもしれない。
 
取材・文●田邊雅之(スポーツ・ルポライター)

リティ氏も原口の秘めたるポテンシャルには大きな期待を寄せており、「左サイドからカットインして、シュートを狙うプレーに磨きをかけなければならない」とアドバイスを送る。(C)Getty Images

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