後半に向けては遠藤と守田で立ち位置や距離感を話し合ったというように、守田が前半よりも少し前に出ることで多少バランスが良くなった。だが気温の割に湿度がある環境の中でスタメンの体力も奪われ、しかし追加点を狙っていきたい意識が、早い時間から全体の間延びを生んでしまった。

　そこから森保監督は南野に代えて浅野拓磨、長友に代えて中山雄太を入れて、終盤における左からの攻撃を整えることには成功したが、中央の古橋亨梧、右の伊東と縦のスピードに優れるアタッカーが揃った分、縦の間延びが生じたことで、ベトナムがアバウトな形からフィニッシュまで持ち込む余地を与えてしまったのはリスクだった。

「守備に関しては、相手も結構勢いを持って前に来ていたりするところでガチャガチャってなって、相手のところにボールが行ってしまう、みたいなのは結構、個人的には多かったなと思ってるので。そこはあまり満足はしていないです」

　そう遠藤が反省するように、前半からセカンドボールを拾われたところからはグエン・クアン・ハイを中心に危険なところまで侵入されかけた。それでもセンターバックの吉田麻也と冨安、GK権田修一が落ち着いて処理したことで、ボックス内でほとんど仕事をさせることなく、その手前からのミドルシュートに限定できていた。
 

　もっとも、終盤のところはボールのこぼれ方１つで危ないシーンになり得たシーンが何度かあり、多少ツキも味方に付けた側面はある。

　オーストラリア戦から２試合続けて採用した４-３-３も万能ではないし、まして成熟が進まない限りはちょっとした理由でバラバラになりうる。日本にとって大事なのは４-３-３の完成度を上げることではなく、最終予選を突破するとともに、本大会に向けてチームを前進させること。

　そのために４-３-３が有効活用されていくのは良いが、手段がいつの間にか目的になってしまわないように、選手起用も含めて、柔軟な思考を持ってオマーン戦の準備、さらにはその先へつなげてもらいたい。

取材・文●河治良幸

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