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【ルヴァン杯MVP戦記】控えめに言って超人的。大げさでなく化け物。明晰なハードワーカー・稲垣祥の凄み

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2021年11月09日

「自分の“財産”が出せている1年」

強力なパフォーマンスで過酷な道を行くチームを後押し。いぶし銀ではない確かな輝きを放った稲垣に、改めて賛辞を贈りたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 さしもの鉄人も疲労はピーク。しかし行かねばならぬと気持ちが上回った。彼の恐るべきところは準決勝での得点と同様に、ギリギリの状況でもしたたかな思考を失わないことだ。

 シュヴィルツォクのシュートがGKキム・ジンヒョンに阻まれ、しかしこぼれ球が自分の前に来た時、稲垣の脳裏によぎったのは焦りでも緊張でもなく、鋭い情報処理の回路だった。

「あんな良い球がこぼれてきてくれるなら、自分は決めないといけないし、こういう舞台でも打つ瞬間は冷静に叩きつけることを意識しながら打てた」

 シュートは抜群の軌道を描いてC大阪のゴールへ。堅守を支え、得点力をも支えてきたキーマンが決めれば、勝利は名古屋のものとなるのは必然だった。

 5試合で4得点は大会得点ランク1位タイで、大会MVP選出はもう試合中からわかっていた“既成事実”のようなものだ。クラブにとってのリーグカップ初タイトルは、自身にとっても初の快挙で、決勝でのゴールは「間違いなく今まででナンバーワンのゴール」と笑顔を見せる。

 ボランチの選手がMVPに選ばれること自体は珍しくないが、これだけの得点を挙げて名実ともにチームを勝利に導く活躍となると、やはり驚異的と言うほかない。ただし謙虚な稲垣は何かの偶然や突発的なものとはせず、しかし自信を持って積み重ねの結果だと胸を張る。

「今までの苦しい時期や上手くいかない時期を自分なりに消化して、乗り越えてきた経験があるからこそ。自分の“財産”が出せている1年という印象です」
 
 明晰なハードワーカーらしい答えだった。チームの要求と試合が求める自分のパフォーマンス、戦術とその場の判断、それらを支えるアスリート能力と積み上げてきた努力。12月に30歳を迎える稲垣だが、まさに選手としての円熟がもたらした大活躍だったと言えるだろう。

 だからもう一度言う。2021年のルヴァンカップは稲垣祥の大会だったと。その強力なパフォーマンスは過酷な道を行く名古屋グランパスを力強く後押しし、11年ぶりのタイトルにまでたどり着かせた。地味な仕事も派手な仕事もどちらもこなし、いぶし銀ではない確かな輝きを放った背番号15に、改めて賛辞を贈りたい。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)

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