【女子W杯】意表を突くセットプレーに象徴された“追われる立場”の難しさ

カテゴリ:日本代表

西森彰

2015年07月06日

宮間も脱帽…「日本以上に向こうが研究していた」。

準優勝となった日本。次の世界大会となるリオ五輪を雪辱の機会としたいところだ。(C) Getty Images

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 しかし、そこまでだった。2分後、ラピノーの左CKから、モーガン・ブライアン、ヒースとつながれて「一番痛かった5点目」(宮間)を奪われ、再び3点差に。その後もなでしこジャパンは菅澤のヘディングシュートや、59分に投入された岩渕真奈のドリブルなど交代選手を活かす攻撃でアメリカゴールへ迫ったが、追いつくことはできなかった。
 
 相手のウィークポイントや不意を突く攻撃で勝利の確率を上げる――。世界チャンピオンになるまでの日本がそうだった。それが、このカナダ大会では、上位進出を狙う各対戦国が、日本を格上とリスペクトした上で、さまざまな対策を敷いてきた。これが追われる立場でのワールドカップということなのだろう。
 
「結果的にはセットプレーが痛かったなと思います。どのチームもやってこなかったことをやってきたというのは、こっちが研究する以上に向こうが研究していたということだと思います」(宮間)
 
 こうした各国の戦略を上回るために、日本もたくさんの対応策を持っていた。事実、アメリカ戦では4-4-2でスタートした布陣は、3回の選手交代を含めて原型をとどめないほどに変化。最終的にスタート時と同じポジションで試合終了の笛を聞いたのは、GK海堀と、CF大儀見のふたりだけだった。
 
 それだけ、大幅に配置転換を行ないながら、試合内容では互角以上のものを見せたのだ。これは評価に値する。しかし、これは4年、いや8年がかりでチームを作ってきたからできたこと。一朝一夕にはこんなチームは作れない。
 
 2020年に控える東京五輪を考えると、来年のリオ五輪も含めてメンバーの入れ替えも考えなければいけない。その世代交代の隙に付け込もうと、アジアのライバルも様々な秘策を手に、なでしこジャパンに挑んでくるはずだ。
 
 アジア地区の五輪出場枠はふたつだけ。世界大会のファイナリストというのは、もう過去のこと。また、新たな頂点へ向けて、厳しい戦いの幕が上がる。
 
取材・文:西森 彰(フリーライター)
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