ロイドはロンドン五輪決勝でも日本から2ゴール。
サッカーを取材して40年、あらゆるものを目にしてきたつもりだが、この日のカーリー・ロイドのパフォーマンスは比類がないほど素晴らしかった。
【PHOTOアーカイブ】「なでしこvsアメリカ」激闘の記憶
決勝という大舞台でのハットトリックは、文字通りの快挙だ。それもキックオフからたった16分間で3ゴールを奪取した。
しかも、ハットトリックを完成させた16分の3点目は、ハーフウェーライン付近から決めた50メートル超のスーパーゴール。40年の記憶を辿っても、これほど華々しい活躍は男女問わず思い当たらない。
アメリカが5-2で日本を圧倒した女子ワールドカップ決勝。勝負を分けた大きな“違い”が、このロイドだった。
ロイドは3年前のロンドン五輪決勝でも全2ゴールを奪っている。佐々木則夫監督が「いつも彼女にやられる」と語ったように、日本にとっては悪夢のような存在だろう。
大会を通じてトップタイの6ゴールを挙げ、ゴールデンボール(大会MVP)に輝いた32歳のMFは、間違いなくアメリカを栄冠に導いた大きな原動力だった。
ただ、日本に限らず、この日のロイドとアメリカを止められるチームは地球上に存在しなかっただろう。コンディションのピークをピタリと合わせた準決勝(ドイツに1-0)、決勝は、それこそ無敵の強さを見せつけた。
もちろん、日本も称賛に値する。いきなりの4失点にも気持ちを切らさず、27分に大儀見優季が決め、53分にオウンゴールで2点差に詰め寄った時には、あるいはと思わせた。
決して勝負を捨てない日本の粘り腰を、アメリカは4年前の決勝で思い知らされている。二度のリードを追い付かれ、PK戦の末に優勝をさらわれたあの敗戦は、トラウマにも似た傷跡だ。
それだけに、決定的だったのがオウンゴールの直後にトビン・ヒースが奪った5点目だ。このゴールがなければ、日本の反撃ムードは盛り上がっていただろう。
ロイドの1点目と2点目、そしてこのヒースの得点と、アメリカはセットプレーから3点を奪った。周到な準備でも日本を上回ったと言えるだろう。
ディフェンディングチャンピオンを破り、史上最多3度目のワールドカップ制覇を果たしたアメリカ。堂々たる戴冠だった。
文:マイケル・ルイス text by Michael LEWIS
マイケル・ルイス/サッカー取材歴40年を超える重鎮ジャーナリスト。ワールドカップは8大会、オリンピックは7大会の現地取材を数え、米紙『ニューズデイ』、英紙『ガーディアン』をはじめ、WEBサイト『FOXニュース・ラティーノ』などに寄稿する、北米サッカーメディア界の第一人者だ。1952年5月16日生まれ、ニューヨーク出身。今年6月から『ワールドサッカーダイジェスト』誌でも連載開始。
【PHOTOアーカイブ】「なでしこvsアメリカ」激闘の記憶
決勝という大舞台でのハットトリックは、文字通りの快挙だ。それもキックオフからたった16分間で3ゴールを奪取した。
しかも、ハットトリックを完成させた16分の3点目は、ハーフウェーライン付近から決めた50メートル超のスーパーゴール。40年の記憶を辿っても、これほど華々しい活躍は男女問わず思い当たらない。
アメリカが5-2で日本を圧倒した女子ワールドカップ決勝。勝負を分けた大きな“違い”が、このロイドだった。
ロイドは3年前のロンドン五輪決勝でも全2ゴールを奪っている。佐々木則夫監督が「いつも彼女にやられる」と語ったように、日本にとっては悪夢のような存在だろう。
大会を通じてトップタイの6ゴールを挙げ、ゴールデンボール(大会MVP)に輝いた32歳のMFは、間違いなくアメリカを栄冠に導いた大きな原動力だった。
ただ、日本に限らず、この日のロイドとアメリカを止められるチームは地球上に存在しなかっただろう。コンディションのピークをピタリと合わせた準決勝(ドイツに1-0)、決勝は、それこそ無敵の強さを見せつけた。
もちろん、日本も称賛に値する。いきなりの4失点にも気持ちを切らさず、27分に大儀見優季が決め、53分にオウンゴールで2点差に詰め寄った時には、あるいはと思わせた。
決して勝負を捨てない日本の粘り腰を、アメリカは4年前の決勝で思い知らされている。二度のリードを追い付かれ、PK戦の末に優勝をさらわれたあの敗戦は、トラウマにも似た傷跡だ。
それだけに、決定的だったのがオウンゴールの直後にトビン・ヒースが奪った5点目だ。このゴールがなければ、日本の反撃ムードは盛り上がっていただろう。
ロイドの1点目と2点目、そしてこのヒースの得点と、アメリカはセットプレーから3点を奪った。周到な準備でも日本を上回ったと言えるだろう。
ディフェンディングチャンピオンを破り、史上最多3度目のワールドカップ制覇を果たしたアメリカ。堂々たる戴冠だった。
文:マイケル・ルイス text by Michael LEWIS
マイケル・ルイス/サッカー取材歴40年を超える重鎮ジャーナリスト。ワールドカップは8大会、オリンピックは7大会の現地取材を数え、米紙『ニューズデイ』、英紙『ガーディアン』をはじめ、WEBサイト『FOXニュース・ラティーノ』などに寄稿する、北米サッカーメディア界の第一人者だ。1952年5月16日生まれ、ニューヨーク出身。今年6月から『ワールドサッカーダイジェスト』誌でも連載開始。