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「想定外の出来事が起きている」今季のACL。原副理事長は特殊な状況下で戦う日本勢をどう評価している?

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年10月14日

名古屋の懸念材料とは?

C大阪はラウンド16で敗退。途中出場の西川(18番)もゴールを奪えなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 Jリーグ勢で最後の砦となった名古屋には期待したいです。ただ、懸念材料がないわけではありません。国内のカップ戦でも勝ち上がっていて、リーグ戦では来季のACL出場権を獲得できる3位以内を狙える位置にいる現状ではACLに集中できない。それが果たしてどう出るか。

 また、ACLの準々決勝はアウェーの浦項戦(10月17日)ですから、遠征先、帰国後の“バブル”(感染拡大防止策のひとつ。選手やチーム関係者を隔離し、一定期間外部と接触させない)での影響も気になります。今季のグループステージでバブルを経験した人たちの話によれば、想像以上にきついらしいです。隔離期間中にコンディションを落とす恐れもあるわけで、今大会ならではの難しさを感じます。

 さらに言えば、韓国勢のJリーグ勢に対するライバル意識が半端ない。韓国のクラブはKリーグ以上にACLに懸ける想いが強いらしく、日本のクラブが相手となればいやが上にもモチベーションを高めてくる。そういうのも、名古屋が勝ち上がるうえでの“壁”になるでしょうね。

 いずれにしても、名古屋の優勝を願っています。クラブの関係者も「滅多にないチャンスだから勝ちたい」と言っているので、頑張ってほしい。アジアを制覇できるだけのタレントがいて、シンプルな戦い方も浸透しています。なかでも素晴らしいのがCBのキム・ミンテ選手で、丸山祐市選手の穴(右膝靭帯損傷で長期離脱中)をよく埋めています。堅守主体のサッカーは一発勝負に向いているはずなので、少なくとも東地区は制してほしいです。
 

 今大会はオーストラリア勢の不参加などイレギュラーな部分があって、「勝っても素直に喜べない」との意見もあります。ただ、そんな雑音も当事者には関係ありません。やるからには優勝を目指す、それが当然のスタンスです。むしろ特殊な状況下で大会を制したほうがファン・サポーターの記憶に残るかもしれません。

 ACLは他国のクラブと対戦できる貴重な舞台で、大きな刺激をもらえます。だからこそ、1試合でも多く経験できれば選手としても成長できます。そうした観点からACLを強く意識するクラブも増えてきました。確かに、クラブレベルで国際経験を積めるのは大きいです。Jリーグとはまた違った味付けのサッカーにどう対峙し、攻略するのか、そこがACLを戦う醍醐味でもあります。

 ACLに出ればクラブのステータスが上がり、そこで優勝できればJリーグのブランドも高まります。だからこそ、名古屋には栄冠を掴んでもらいたいです。

<プロフィール>
原 博実(はら・ひろみ)/1958年10月19日生まれ、栃木県出身。現役時代はFWで早稲田大、三菱重工などで活躍。日本代表歴は75試合・37得点。現役引退後、浦和、FC東京の監督を経て日本サッカー協会で技術委員長なども務めた。16年3月にJリーグの副理事長に就任し、現在に至る。

取材・構成●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

※本稿は、サッカーダイジェスト10月28日号に掲載された「J’sリーダー理論」の内容を転載したもの。

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