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サウジ戦の明暗を分けた森保監督の選択… 必要なのは選手に嫌われてでも勝利を奪い切る“非情さ”だ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2021年10月08日

指揮官の“素晴らしい人柄”と“勝負師としての弱点”

吉田(写真右)の前日会見のコメントから、森保監督の弱点が読み取れた。(C)REUTERS/AFLO

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 奇しくも試合の前日会見で、吉田麻也主将が森保一監督の選手を引き付ける力について語っていた。

「多くの監督のもとでプレーしてきたが、あれほど本気で選手のことを考えてくれる監督はいない。東京五輪では冨安健洋のコンディションを優先し、1試合休ませた。こんなことができる監督はなかなかいない。だからみんなみこしを担ぎたくなる」

 ただし反面、吉田のコメントは、森保監督の素晴らしい人柄とともに、プロフェッショナルの勝負師としての弱点も匂わせた気もする。

 逆に吉田が見てきた多数派の監督たちは、もっとエゴを剥き出しに結果を獲りに行くのだろう。試合後の森保監督は言った。

「柴崎は攻守に渡り貢献してくれた。疲労が見え、交代を考えていたところで失点した。しかし代えるタイミングを間違ったとは思っていない」
 
 日本陣営のサウジ戦へ向けた入念な準備は、「相手の情報はしっかりインプットできて、ストロングポイントもしっかり抑えられていた」という吉田の言葉が裏づけている。完全アウェーの地で、ポゼッションから決定機、パス成功率、デュエルなども含めて、ほぼ両チームのデータは拮抗していた。しかし、だからこそ細部が勝敗を残酷に色分けた。

 森保監督は個々の長所だけを見て信じ続けるタイプで、育成指導者なら理想的な姿勢を貫いている。だがスタメンの倍以上の選手たちを率いて、生き馬の目を抜く戦場へ出ていく将軍には、冷徹な割り切りや迅速な見切りも必要になる。モチベーターとして「みこしを担ぎたい」気持ちにさせるだけではなく、嫌われても勝利を奪い切る非情さも求められる。

「ベースの方向性は間違っていないし、諦めなければワールドカップの切符を手にする力がある」と指揮官は断ずる。それを真っ向から否定する異論はない。だがそれだけに、采配面での柔軟性の欠如と度重なる決断の躊躇が残念だ。

文●加部 究(スポーツライター)

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